近江信楽線紀行(1)彦根へ

さて、この春の大井川鐵道本線と天竜浜名湖鉄道の旅の三日間は、十分な満足感があり、この旅の心地良さに押され、帰る気にならないのも、困ったものである。天竜浜名湖鉄道起点の掛川駅から、東海道新幹線のこだま号で帰京する予定であったが、思い切って延泊をしよう。

明日は、鉄道から離れて、旧東海道めぐりをしたいと思い、掛川駅から豊橋駅まで行き、投宿する。翌朝、新居町駅(あらいまち-)に向かい、一番取り締まりが厳しいと言われた新居関所を見学後、東京方隣駅の弁天島駅で下車をする。浜名湖の今切口近くの三十次目の舞阪宿を、ゆっくりと散策して、地元食堂で昼食を摂る。昼過ぎには、弁天島駅東隣りの舞阪駅に到着したので、その足で、浜松城を見学する事にしよう。
グーグルマップ・東海道本線新居町駅-弁天島駅-舞阪駅付近

浜松城は、駅から距離があるので、遠州鉄道バスを利用し、15分位で到着する。若い頃の徳川家康が居城した浜松城は、意外に大きい城郭で、野面積み石垣が力強く、家康臣下の譜代大名達を老中等の重役にまで進まさせた、出世城として有名である。今は、浜松のシンボルと桜の名所として、大きな公園として整備されている。


(名物の徳川家康公銅像。)

(浜松城。昭和33年築の模擬天守であるが、雰囲気は良い。)

(浜松城の石垣。野性味のある野面積みは、大きな面が奥の土中にある。)

浜松城では、桜が満開であり、花見の宴会も至る所で賑やかで、春うららの気分が高揚してしまう。なんだか、もう一泊したい気持ちになってきてしまう。おもむろに、大きな鞄からJTBの大型時刻表を取り出し、巻頭カラーの路線図を眺めてみる。もう、いち路線を訪問するとして、京都や大阪まで行くのは流石に遠いと感じ、中京エリアのローカル線で、気動車が走る非電化路線が良い。そう考えると、以前から気になっている、信楽高原鐵道(しがらき-)が良さそうである。


(浜松城で、花見を楽しむ人達。)

浜松駅に戻り、西に進もう。早速、切符と飲料等の手配をして、JR東海道線下り名古屋方面ホームに向かう。今夜の宿を確保しないといけないが、先ずは、有名な鉄道要衝地の米原(まいばら)まで行き、現地ホテルを直接訪ねれば、何とかなるであろう。在来線で行くので、浜松から米原までは営業キロ188.8km、所要時間は約3時間かかる。


(JR浜松駅に戻る。)

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浜松1620 東海道本線 下り普通列車 959M 豊橋行
1656
豊橋1701 東海道本線 下り新快速列車 2341F 米原行
1911
米原 東海道本線 下り普通列車(記録なし・所要時間5分)
彦根
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浜松駅を16時20分に各駅停車で出発。豊橋駅で、JR東海313系新快速に乗り換え、中京圏を横断する。丁度、帰宅ラッシュに当たり、車内は混雑したが、岐阜駅を過ぎると閑散となって、大垣駅西方の関ヶ原の伊吹山南麓を越える前に日は暮れて、19時11分に米原に到着。列車から降りると、浜松はとても暖かく感じたが、米原は内陸なので、かなり肌寒く感じる。

向かいのホームには、米原駅始発のJR西日本225系新快速姫路行きが待っている。国鉄時代の米原駅は、名古屋鉄道管理局の管轄であったので、最東は手前の彦根駅止まりであったが、今は、JR西日本の管轄になった為、米原まで乗り入れる様になっている。


(米原駅始発の新快速姫路行き。)

改札を出ると、大きな街があると思いきや、建物は疎らで、駅前は真っ暗である。鉄道ファンにとっては、新幹線、東海道本線と北陸本線が接続し、米原機関区が置かれた要衝地として、国鉄時代から特別と言う程の土地であるが、地勢経済的にはそうでもないらしい。

一瞬、どうしようかと考える。少し先に、地元ビジネスホテルが一軒だけ見えるので、行ってみる事にする。一階フロントのホテルオーナーらしい中年男性に尋ねると、空室はあるが、コインランドリーが館内に無いとの事で、困ってしまう。元々、二泊三日の旅装の用意しかしていない為、今晩は洗濯をしないと、明日の着替えが無い。事情を知ったオーナーの勧めで、「彦根まで行けば、大きなホテルが数軒ある」とアドバイスされ、ここに泊まらないのは悪いが、彦根まで行ってみる事にする。なお、米原からはひとつ隣駅なので、所要時間は大してかからない。

米原駅から5分程で、彦根駅に到着すると、駅東口に大きなホテルの電光看板が見える。この大きさならば、週末でもあるので、予約無し宿泊もお願いできそうである。コンフォートホテル彦根のフロントに事情を話した所、コインランドリーも館内にある上、快く対応してくれたので、お願いする事にした。

開業してから、真新しいホテルらしく、設備や調度品もとても綺麗である。予定を急に組み、バタバタとしていたので、夕食をどうするか。実は、抜かりは無く、浜松駅で駅弁を手配してある。勿論、浜松と言えばこれである。

名物駅弁の「しらす弁当(自笑亭/税込み1,000円)」である。販売元の自笑亭は、江戸時代末期の安政元年(1854年)から続く、地元老舗の仕出し弁当屋で、この「しらす弁当」の他、「濱松うなぎ弁当」、「浜松三ヶ日牛弁当」や、最近では、浜松の地元ゆるキャラタイアップの「出世大名家康くん弁当」を販売している。
自笑亭公式HP


(自笑亭「しらす弁当」の外観。箱に直接印刷され、掛け紙は無いタイプである。)

「しらす」は、東日本での呼び名で、西日本では、「ちりめん」と呼ばれる、片口鰯の稚魚である。しっかりとしたご飯に、ほんのりと甘く、塩味が効いた天日干ししらすが一面に乗せてあり、素朴で飽きない味が嵌まる。おかずは京風幕の内になっており、小仕切りされていて、種類も多い。しらすご飯が進んだら、右手前にある静岡特産のわさび漬けを乗せると、違う楽しみが出来る。

なお、しらすは大変傷みやすいので、全国でも、浜松の自笑亭のみの販売らしい(※)。山陰本線や北陸本線に、「かにめし(蟹のちらし寿司)」が幾つもあるのと、対照的である。


(しらす弁当の盛り合わせ。京風とも言える。)

実は、B級ジャンクではあるが、こんなものも。静岡以西の西日本でないと、手に入り難い、「金ちゃんいかソース焼そば」である。所詮、インスタントではあるが、ペヤングに慣れている関東人にとっては、不思議と旨い。正直、大阪の大メーカーA社のイカ焼きそばよりも、美味しいと感じる。西行き旅行時には、いつも購入しており、ちょっとした自分用土産である。
徳島製粉公式HP・金ちゃんヌードル


(金ちゃんいかソース焼そば。イカ無しバージョンもあり、そちらも旨い。)

駅弁を十分に味わった後は、洗濯をし、ロビーの一角にある無料インターネットで、情報収集をする。信楽高原鐵道の起点である貴生川駅(きぶかわ-)に行くには、このまま東海道本線を西に行き、草津駅で乗り換えて、JR草津線を利用するのが一般的である。しかし、敢えて、のんびり旅と民営鉄道応援を兼ね、米原駅で見かけた近江鉄道経由も面白そうである。幸いにも、この彦根にも、近江鉄道の駅が接続している。また、土日祝日限定の信楽高原鐵道と共通の1日フリー切符があるので、便利そうである。なんと、1日乗り放題で大人1,000円と破格であり、この切符が決め手となった。

部屋に帰り、フロントで貰った彦根観光パンフレットを眺めてみる。せっかく、彦根まで来たので、朝食の無料サービスと有名な彦根城を少しばかり見学してから、近江鉄道に乗ろう。風呂に入り、少し早めに休む事にする。


(フロントで貰った彦根観光パンフレット。)

(つづく)


2017年7月16日 FC2ブログから保存・文章修正(濁点抑制)・校正
2017年7月16日 音声自動読み上げ校正

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