天浜線紀行(7)細谷から遠州森へ。

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【停車駅】◎印は列車交換可能駅、★は国登録有形文化財駅
細谷===原谷◎★===原田===戸綿===0920遠州森◎★
下り117列車・普通新所原行(TH2102・単行・ワンマン運転)
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細谷駅を発車すると、次の原谷(はらのや)駅まで、2km近い直線区間が続く。列車は時速80km程のスピードになり、ローカル線らしくない速度に驚く。また、車内は明るく日が差し込み、朝の冷え込みもすっかり解消して、快適である。


(TH2100形の車内。白と青を基調とした内装で、清潔感のある気動車になっている。)

遙か遠くには、南アルプスの高い峰々も見え、とても気持ちの良い景色になっている。線路左手向こうの原野谷川の水を引き込み、この一帯は大水田が広がっており、夏から秋は素晴らしい田園風景が見渡せるのであろう。


(進行方向の遠く正面には、江戸時代に民衆信仰を集めた秋葉山がある。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

そして、列車交換可能駅である原谷駅に到着する。この駅の駅舎も桜木駅と同様に、国登録有形文化財になっており、映画のロケ駅でも知られている。


(原谷駅。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

この原谷駅からは、南アルプスの山裾が平野になだれ込んだ、小さな峠のある山間部に入る。スプリングポイントを越えると、18‰(パーミル)の上り急勾配が始まり、時速40km制限になって、盛り土部の左急カーブの後に原野谷川を渡る。この6連・長さ105mの原野谷川橋梁も、開通当時に架橋されたもので、国登録有形文化財になっている。


(原谷駅を発車すると、盛り土の勾配を登る。その先に、原野谷川橋梁がある。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

(国登録有形文化財の原野谷川橋梁を渡る。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

◆国登録有形文化財リスト「天竜浜名湖鉄道原野谷川橋梁」◆

所在地 静岡県掛川市本郷地先(掛川市本郷2154、掛川市幡鎌138-3)
登録日 平成23年(2011年)1月26日
登録番号 22-0172
年代 昭和10年(1935年)。
六連のうち、二連は日本橋梁製(昭和9年製造)、
四連は八幡製鉄所製鉄板使用の横河橋梁製(昭和9年製造)。
構造形式 原野谷川橋梁(鋼製6連桁橋、橋長105m、橋台及び橋脚付)
特記 原谷駅先の原野谷川に架かる橋長105メートル、単線仕様の鋼製六連桁橋で、
鋼製桁には上路式のプレートガーダーを用いる。
鉄筋コンクリート造の橋脚五基を据える。

※文化庁公式HPから抜粋、編集。

原野谷川鉄橋を渡り切ると、右カーブをし、木々が生い茂った中の切り通しになり、原谷駅から大きく逆S字を描く様に登坂して行く。そして、逆S字カーブの頂点部の土手上にある、原田駅に停車する。

この原田駅は、県道交差点と小さな集落に面した小さな単式1線の無人駅で、第三セクター転換後の昭和63年(1988年)3月開業している。建設中の第2東名高速道路が開通すると、この駅付近が、天浜線との交差地点になるという。また、この付近の原野谷川では、ホタルの鑑賞も出来る程、清らかとの事。


(逆S字カーブの頂点にある原田駅は、勾配の途中にある。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

原田駅の先は、約30m程度の標高差であるが、南アルプス末端の稜線を越える区間になる。豪快にエンジンが唸り、ハイパワーな新型気動車であるが、登坂も苦しい感じになる。それでも、国鉄時代の気動車よりは軽快で、横の県道を走るトラック並の速さはある。


(板ヶ谷と呼ばれる小谷を登る。左手には、小さな水田と集落がある。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

(勾配のピークにある短いトンネル。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

息を切らした様なエンジン音と共に県道の下を交差した後、短いトンネルを抜けると、今度は、25‰の下り急勾配でエンジンは大人しくなり、県道から離れた緑の多い山の中を、軽快に下って行く。なお、緑の多い山中であるが、住宅も点在し、細い谷間に大きな工業団地も出来ている。


(トンネルから抜けた長い下り急勾配。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

太田川に近づくと、再び、緩やかな上り坂に変わり、川岸にある戸綿(とわた)駅に到着。駅の北端が鉄橋に掛かる盛り土部にあり、道路からの高低差もかなりある為、二箇所の踊り場のある長い階段がホームに付いている。近くには、ふたつの高校があるらしく、男子高校生が2人下車して行く。


(戸綿駅。高台にあるので、周囲の見晴らしは良い。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

タイフォンを鳴らして、戸綿駅を発車。国鉄二俣線が最初に開業した当時の最長鉄橋であった太田川鉄橋を、ガラガラとエンジン音を大反響させながら渡る。12連・長さ192mもあり、国登録有形文化財に指定されている。対岸には、大きな町並みが見えてきた。


(太田川橋梁を渡る。192mの長さがある。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

◆国登録有形文化財リスト「天竜浜名湖鉄道太田川橋梁」◆

所在地 静岡県周智郡森町森地先(静岡県周智郡森町睦実1677-4、森町森621-5)
登録日 平成23年(2011年)1月26日
登録番号 22-0171
年代 昭和10年(1935年)、河川部は日本橋梁製(昭和9年製造)、
道路部は川崎車両製(昭和8年製造)。
構造形式 太田川橋梁(鋼製12連桁橋、橋長192m、橋台及び橋脚付)
特記 遠州森駅の400m東に位置し、太田川に架かる。
橋長192m、単線仕様の鋼製十二連桁橋で、全体で緩やかな曲線を描く。
鋼製桁はプレートガーダーで、信州街道に架かる東端のみ下路式とし、
他は上路式とする。当初開通時における最長の橋梁。
緩やかに左にカーブしているのが特徴。

※文化庁公式HPから抜粋、編集。

直角に近く左カーブをし、南西に進路を変えると、広い構内の遠州森駅に進入する。列車は減速し、島式ホームの下り2番線ホームに、ゆっくりと滑り込む。時刻は9時20分、この駅で途中下車をしよう。上り118列車・掛川行き単行TH2113と列車交換になる。


(遠州森駅に到着。※上り掛川行き列車の最後尾から、後方の天竜二俣方を撮影。)

(掛川駅から最初の有人主要駅になり、列車交換をする事も多い。)

(つづく)


※車内からの撮影は、運転士の安全運転に配慮し、列車の最後尾から後方を撮影。
※勾配率のパーミル(‰)は、水平距離1,000mの高低差(m)を表す。

2020年5月9日 ブログから転載・文章修正・校正。

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