流山線&竜ヶ崎線紀行(13・竜ヶ崎線編)竜ヶ崎駅

竜ヶ崎線の終点であり、書類上は起点である竜ヶ崎駅に到着。車両区も併設し、地方ローカル線としては、規模の大きい駅になっている。


(駅前の巨大ショッピングセンター横にある歩道橋上からの竜ヶ崎駅遠景。)

龍ケ崎市街の中心部には無く、佐貫寄りの西端にあるので、町の玄関駅の様な感じである。前身の蒸気軽便鉄道・龍崎鉄道開通時の明治33年(1900年)8月14日に開業。軽便時代当初は、土盛りの単式ホームと小さな平屋の木造駅舎、ホーム向かいに側線、木造車庫、転車台や給水塔があり、本社建物は駅前に別にあったという。輸送量が大幅に増え、業績も好調であった大正11年(1922年)6月には、本社事務所を併設した木造洋風建築の立派な駅舎が建てられた。昭和49年(1974年)5月に現在のコンクリート製三代目駅舎に建て替えるまで、永らく使われていた。

終日、社員有人駅であり、竜ヶ崎線全駅の管理も行う。列車の発着時以外はホームの立ち入りが出来ない列車別改札のため、改札口周辺と駅周辺を先に見学してみよう。念のため、改札にいる20代の若い男性駅員氏に挨拶し、撮影許可を取っておく。許可は不要とも思うが、トラブル防止と勤務する駅員達にとっては職場であるので、小さな地方ローカル線の有人駅では、挨拶は欠かせない。なお、駅員氏も鉄道好きが多く、鉄道ファンには理解をしてくれる。余程のことや冬期のホーム凍結による転倒・転落などの危険が無ければ、許可は貰える。


(ホームから改札口へ向かう。)

先に外に出てみよう。戦後昭和の高度成長期に建てられた平屋のコンクリート駅舎は、無機質な雰囲気を醸し出しているが、今の時代から見ると妙にクールに感じる。地方ローカル線の終着駅としても大きな駅舎で、改札前に開放式の大きなスペース、風や寒さを凌ぐ待合室もある。駅舎外壁に沿ってテナントが入るスペースもあるが、全て閉店しており、今は倉庫などとして使われているらしい。かつては、「讃岐うどん」ならぬ、「佐貫うどん」を掲げる駅うどん店も構え、関東のローカル線乗りの間では名物店であった。

駅出入り口は、南側と東側の二カ所あり、町の中心地に向いた東側には、居酒屋やライブハウスなどの店も並んでいる。覆いかぶさる様な鉄製平屋根の大型アーケードあるが、後年に増設されたものだろう。


(南側からの駅舎。バス乗り場があり、ミニコミュニティバスが発着する。)

(東側からの駅舎。こちらが町の中心方面になる。)

(駅前には、地元系通運会社も残り、現在も営業している。駅構内も広いので、貨物取扱量も多かったであろう。なお、貨物輸送は昭和46年[1971年]3月、手小荷物輸送は昭和56年[1981年]4月に廃止になっている。※)

東口には、地元小学生が制作した「まいりゅう」のグリーンオブジェが展示されている。また、よく見ると、駅名標は「竜ヶ崎」、駅前に停まるタクシーの屋根サインは「竜ケ崎」と微妙に違う。市名や住所は龍ケ崎なのでややこしい。旧漢字の「龍」は当用漢字外、「ケ」も大小あるのが原因であるが、地元でも厳密に区別していないらしい。新漢字の「竜」に変更されたのは、戦後になってからである。


(地元小学生が制作した、まいりゅうの歓迎グリーンオブジェ。)

(東口と駅名標。)

駅舎内の改札口前は大変広く、コンクリートたたき(三和土)の風防の無い開放的な造りになっている。かつては、江戸崎方面(現・稲敷市)からバスでやって来た通勤客でごった返し、往年の雰囲気を残す。流石に冬場は寒いので、元テナント部分と思われる場所に風防付きの待合室が造られ、暖房も設置されている。


(改札口周辺。列車別改札方式のため、発着時以外は閉鎖されている。また、駅舎内に売店もあったが、閉店してしまった。)

(自動券売機は2台ある。JRとの連絡切符も購入可能。改札口横に有人の出札口もある。左の赤い機器は、Suica・PASMOの現金チャージ機。)

(改札口横の元テナント部分らしい待合室。窓部分のアールも昭和中期風である。)

次の列車が来る頃なので、改札を通り、ホームに出てみよう。駅の場所は開業当時から変わっていないが、線路配置とホーム位置は、かなり変更になっているという。転車台は撤去されており、現在のホーム北側の駐輪場付近にあったらしい。


(折り返しの佐貫行き列車が到着。)

(踏切横からのホーム全景。※完全逆光のため、ご容赦願いたい。)

Y字形の昭和風鉄骨造りの旅客上屋が被さり、元々は島式ホームであったらしいが、片側は潰され、単式ホームとして使われている。潰された南側はアスファルトで舗装され、駐車場になっている。また、佐貫寄りの線路下に水路があり、古いレンガの構造物が見える。おそらく、開業当時、もしくは、戦前のものであろう。


(ホーム下にあるレンガ水路。)

(佐貫方を望む。直ぐにカーブがあるため、見通しは悪い。正面の大きな屋根看板の建物は、地元ショッピングセンター「リブラ」。かなり古く、寂れているが、昭和の脱力したローカルショッピングセンターが好きな人は必見。※列車内から撮影。)

隣の車両区を見てみよう。竜ヶ崎線の前身である軽便蒸気鉄道の龍崎鉄道時代から、ここに設置されている歴史の長い車両区である。現在、竜ヶ崎線専用の気動車が3両だけ所属している。

構内は大変広い。特に中央にある車庫は木造トタン造りの大変古いもので、黒光りするほどの存在感があり、今も使われているのが凄い。おそらく、昭和初期から終戦直後の建物と思われ、この車両区の主になっている。なお、元構内と思われる隣の敷地には、関東鉄道バスの竜ヶ崎営業所とバスの車庫がある。


(木造トタン車庫。車庫内に1本、外に2本の引き込み線がある。)

ここで、竜ヶ崎線の現役気動車を紹介したい。現在、新型の軽快気動車2両と古い気動車1両が運行されている。

新型の軽快気動車は、2両共に関東鉄道キハ2000形(2001と2002「まいりゅう号」)で、この竜ヶ崎線専用として、平成9年(1997年)に2両だけ新製された車両である。新潟鉄工所(現・新潟トランシス)のローカル線向け両運転台型の標準的な平坦線向け仕様になっており、20m鋼製車体、定員139名、自重32.0トン、最高時速95km、直列6気筒・総排気量12.7リッター・330馬力ディーゼルターボエンジンDMF13HZ、ボルスタレス台車、自動空気式ブレーキを搭載する。2001は「コロッケトレイン」、2002は「まいりゅう号」兼「コロッケトレイン」として、ラッピングやデコレーションがされている。

この竜ヶ崎線用車両の特徴として、全駅が竜ヶ崎方の右側にホームがあることとワンマン運転時のホーム確認のため、竜ヶ崎方の運転台は右側にあり、佐貫方は左側にある変則配置になっている(通常はホームに関わらず、左側にある)。また、乗務員扉もホーム側のみにある珍しい仕様になっている。しかし、乗降扉は通常通り両側にあり、開かずのドアが面白い。


(関東鉄道キハ2000形2001。横にある柱は、台車と車体を分離するための電動クレーン。)

(2002「まいりゅう号」の側面ラッピング。龍ケ崎市の市制施行60周年記念として、ラッピングされた。)

(運転台。ツーハンドルとアナログ計器である。右側の扉下にタブレットホルダーが見える。なお、運転台は半室構造である。)

また、払い下げられた国鉄キハ20系の下回り(台車やエンジンなどの走行装置)などを再利用し、上に載せる車体を新製したキハ532形も1両在籍し、鉄道ファンに人気がある。かつての地方民営鉄道では、コストダウンのためによく用いられた手法であるが、近年は見られない。キハ20系の製造年は昭和30年(1960年)前後で、下回りの老朽化も進んでいるため、現在は予備車扱いになっており、毎週土曜日の日中に限って運行を行っている。

主な諸元は、20m鋼製車体、定員130名、自重30.2トン、ターボ付き水平対向6気筒ディーゼルエンジンDMF13HZ(12.7リッター・330馬力)、国鉄気動車用コイルバネ動台車DT22、自動空気式ブレーキ(キハ2000形と併結可能)を装備する。懐かしい「カランカラン」とした乾いたアイドリング音の国鉄気動車標準ディーゼルエンジンDMH17C(直列6気筒・17リッター・180馬力)を搭載していたが、キハ2000形と同じ改良型のDMF13HZに換装されている。なお、以前は、同じ再生新製車のキハ531も在籍しており、4両体制であったが、老朽化のために廃車されている。


(佐貫駅に到着した関東鉄道キハ532形。※以下全て、追加取材時に撮影。)

(車内の様子。国鉄後期の通勤形気動車に準じた造りになっており、どことなくキハ35系に似ている。乗降扉には、小さなステップがある。)

(天井のベンチレーター兼扇風機には、懐かしい国鉄マークの「JNR」が付いていた。装備品も流用している。後年に冷房化されているが、今も夏期に使われている。)

(マスコンボックスや四角形窓の速度計など、国鉄キハ20系の運転台を移植したレトロな運転台。※)

あっという間の終点到着で、拍子抜けであるが、町の散策にこのまま出かけよう。大々的に押しまくっている、龍ケ崎コロッケも試食してみたい。

(つづく)


(※通運/つううん)
鉄道貨物輸送のこと。駅から各事業所や家庭に貨物の集荷や配達を行う会社があった。現在も大手運送会社である日本通運(略・日通/にっつう)が有名。
(※マスコン)
マスターコントローラーの略。主幹制御器ともいい、自動車のアクセルに相当する運転機器。

【参考資料】
関東鉄道七十年史(公式社史本/関東鉄道・1993年・龍ケ崎市立中央図書館所蔵)

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