大鐵本線紀行(8)終点千頭へ

横郷トンネル出口にある支流の下泉河内川の鉄橋を渡ると、12時48分に下泉駅に到着する。島式ホーム一面二線と側線1本があり、レトロな木造駅舎がある有人駅になってる(※)。SL急行列車の編成が長い場合は、客車の後方がホームからはみ出る為、ドアカットを行う。


(下泉駅に停車。金谷方の客車はホームから飛び出している。)

汽笛が一鳴りした後、定刻から少し遅れて発車する。初老の駅長氏や下車した子供達に見送られ、駅北側の下泉トンネルに入って行く。


(下泉駅を発車する。)

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【駅】※急行の為、赤字駅のみ停車。】【→トンネル 〓→鉄橋
下泉1250=】【==田野口=】【==1300駿河徳山
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下泉トンネルを抜けると、左窓に大井川と川辺の低地が広がる区間になり、ゆっくりと眺められる第二のハイライト区間になる。勾配も緩やかになり、時々、モクモクと大きな塊の煙が、後方に流れてくるのが楽しい。


(下泉駅から田野口駅間の第二ハイライト区間。)

この先は、山が川に迫っている為、国道と家々は対岸の西岸にあり、線路がある東岸は、大井川の昔からの自然の風景が、そのまま残る。下泉駅から田野口駅間の駅間距離は約3.7kmあり、二番目の長い駅間距離になっている。また、場所により、川面にかなり近づいて走り、手を取る様に大井川の流れが堪能できる。

高度差の無い川辺を走るこの区間の線路敷設は、大変苦労したと言われている。川石を集め、道床(どうしょう/線路地盤)を嵩上げしたり、軟弱な地盤には、長さ20mの檜板を打ち込んで補強した。現在は、ダムの建設により、水量は少ないが、水害にも十分注意を払っている。


(大井川の川辺りを走る。昨夏の撮影。)

暫く、美しい大井川を眺めながら北上すると、大きなコンクリート橋の中徳橋(ちゅうとくばし)が、見えて来る。この橋を渡った対岸に、川根本町の町役場があり、元・中川根町であった。この橋を過ぎる辺りから、川から離れ、田野口駅とその先のトンネルを通過。再び、大井川が見えた後、駿河徳山駅に到着する。

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【駅】※急行の為、赤字駅のみ停車。】【→トンネル 〓→鉄橋
駿河徳山1301=】【=青部=〓=崎平=〓=】【=〓=1313千頭
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駿河徳山駅に到着。この駅は、SL急行列車が途中停車する最後の駅になっており、社員配置の有人駅である。島式ホーム一面二線と大きな木造駅舎が残り、家山駅と同様に桜並木が名物の駅である。ここで、上り金谷行き電車の16000系と列車交換をする。


(16000系と列車交換になる。)

(駿河徳山駅。)

ここから先の大井川は、山間を激しく曲がりくねる。線路は川から離れているが、三つの大きな鉄橋と二つのトンネルが集中し、第三のハイライト区間になっている。

駿河徳山駅を出発したら、気合いを入れよう。速いスピードで通過し、目まぐるしく車窓が変わる。右側の車窓の景色が良く、次の通過パターンを約12分で走り抜ける。

駿河徳山==】【=青部==〓2〓==崎平==〓3〓】【=〓4〓==千頭(終点)

※ 】【 →トンネル、 〓2〓→鉄橋・数字は第○大井川橋梁。


(国土地理院国土電子Web・青部駅から千頭駅。)

この先は、一部区間を除き、20‰(パーミル)前後の上り急勾配が連続している。駿河徳山駅の停車中に石炭を焚べ、ボイラの蒸気圧を上げている為、黒煙が豪快にモクモクと上がる。発車準備が整い、13時01分に駿河徳山駅を発車。スプリングポイントをガシャリと、ゆっくりと越えて行く。


(駿河徳山駅を発車する。)

暫くすると、沢間トンネルに入り、その出口の300m先が青部駅(あおべ-)になる。そのまま、通過をし、大井川第二橋梁を渡る。


(大井川第二橋梁を渡る。)

渡った先の大きな左カーブ20‰の上り勾配を、汽笛を鳴らして力強く走り、半島状の土地にある崎平駅を通過。半島を抜ける大井川第三橋梁を渡る。


(崎平駅手前付近の大カーブ。昨夏撮影。)

大井川第三橋梁を渡ると、山腹に開けられた田代トンネルに吸い込まれて行く。青部駅から、このスピードと畳み掛けがとてもスリリングに感じ、最高の気分である。なお、田代トンネル内は、大井川鐵道本線最勾配の22‰上り勾配の為、崎平駅の手前から助走し、かなり速い速度で通過する。


(大井川第三橋梁と田代トンネル。)

(大井川第三橋梁から、下流方。)

トンネルを出ると、最後に大井川第四橋梁を渡り、減速をする。車掌氏の終着のアナウンスが流れると、終点の千頭駅に到着する。

(つづく)


(※)下泉駅は、平成22年5月1日付けで無人駅になっている。

2017年7月30日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年月日 音声自動読み上げ校正

非常に混んでいた為に撮影が難しく、昨春に訪問の写真を一部利用。

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