大鐵本線紀行(3)新金谷駅

金谷駅からひとつ隣の新金谷駅に到着。時刻は9時48分である。北側にあるスロープを下り、構内踏切を渡って改札口に向かおう。乗車してきた電車は、この新金谷止まりの為、回送になる。


(北端のスロープから改札口に向かう。)

(構内踏切と改札口。)

開業当時の立派な木造駅舎の新金谷駅は、昭和2年(1927年)6月開業、起点の金谷駅から2.3km地点、1駅目、所要時間約5分、島田市金谷東、標高69m、1日乗車客数約400人の社員配置有人駅になっている。なお、一階には、昔ながらの有人出札口、待合室と小さな直営売店があり、二階には、大井川鐵道本社が入っている。


(改札口と出札口周辺。)

駅舎の外に出てみよう。起点の金谷駅は、牧之原台地の崖下の谷間にあるが、この新金谷駅は、町の中心から東側の大井川に近い場所にある。


(駅出入口。)

(新金谷駅全景。木造二階建ての大型駅舎である。)

駅の向かい側にある待合観光施設のプラザロコに行こう。SL指定席予約や駅弁の手配をしていない為、SL急行券(指定席券)を案内カウンターで手配した後に、駅弁や飲料も購入する。駅周辺には、飲食店や商店は殆ど無く、ここで手配した方が良い。また、売店で購入後、SL列車の出発前まで、駅弁を預かって貰えるサービスもある。

プラザロコには、案内カウンターの他、待合ロビー、トイレ、売店土産店、軽食コーナーやロコミュージアム「大鐵博物館」が併設されている。ちょっと、見学してみよう。


(プラザロコ館内。)

ロコミュージアムには、タンク式蒸気機関車や昔の井川線の客車、鉄道模型、昭和時代のポスターやモニュメント等があり、SL列車の発車までの時間潰しにもなる。まだ、SL列車の発車時刻の2時間前であり、館内はガラガラである。


(大鐵博物館。一般観光客向けの展示であるが、子供連れも楽しめる。)

(昭和の映画ポスターが展示されている。)

2両連結されたかまぼこ屋根の赤い客車は、平成2年(1990年)まで使われていた大井川鐡道井川線の「スロフ1形(1・2)」である。中部電力専用線時代の昭和28年(1953年)に、来賓用として帝国車両で製造され、定員16名(ロングシート8名×2/立席無し)、自重6.5t、大きさも二軸貨車並の長さ7.3m、幅1.83m、高さ2.6mのミニ客車になっている。「ロ」が付与された上等車両らしく、エンジ色を基調とした気品のある座席と内装になっている(※)。


(井川線スロフ1形。険しい山岳鉄道である井川線の車両規格になっている。)

(車内。昔、ロングシートは、クロスシートよりも優等座席であった。)

懐かしい丸い郵便ポストと丹頂形電話ボックスのある昭和風駅舎モニュメントも、凝った造りになっており、昭和30年代を再現している。手前のガラスケースには、国鉄蒸気機関車の模型が沢山展示してある。


(一番奥に、昭和風駅舎のモニュメントがある。)

(懐かしい広告入り鏡。平成の初めまで、下泉駅に設置されていたもの。)

(模擬出札口と改札口。出札口には、鉄道部品が展示されている。)

ロビーの中央には、二両の小型蒸気機関車が、静態保存展示されている。手前の住友セメント七尾1号「いずも号」は、大正10年(1921年)製造のドイツ・コッペル社製タンク式蒸気機関車である。

大正11年(1922年)に、一畑軽便鉄道(現・一畑電車)に導入された後、石川県能登半島の住友セメント七尾工場で活躍したが、晩年は隅にひっそりと放置されていた。それを見かねた鉄道雑誌編集者の松本氏と平石氏が働きかけ、大井川鐡道にやって来た。なお、国鉄と同じ狭軌1,067mm規格の為、軽便鉄道用のコッペル蒸気機関車と比べると、車体も若干大きく、自動連結器と古典的な朝顔形連結器を上下に並装している。大井川鐵道入線後に動態整備がされ、井川線のミニSL列車(※)牽引機として使用されていたが、本線のSL列車運行開始後に静態保存となっている。


(いずも号。いずもの由来は、島根県の一畑電車に初導入された事による。)

また、その奥の並びには、鉄道省(後の国鉄)が購入し、払い下げ後に、日本ステンレス直江津工場で使われていた1275形タンク式蒸気機関車も展示されている。この1275形も、大正11年(1922年)製のドイツコッペル社製であり、「いずも号」と共にミニSL列車の牽引機を務め、平成元年(1989年)まで活躍した。いずも号よりもひと回り大きく、いずも号の自重12.8tに対し、倍近くの21.5tもある。


(1275形。国鉄形式も、同じ1275形になる。小型であるが、C形である。※)

(つづく)


(※)「ロ」は、国鉄車種の旧二等車、現在のグリーン車になる。特別料金が不要な一般の車両「ハ」より格上の車両になり、井川線の車種表記もそれに習っていると考えられる。
(※)本線復活前に、井川線の千頭駅から川根両国間の側線で運行されていた。
(※)車軸配置を表わし、動輪が3つある事。B形は2つ、D形は4つ、E形は5つ。

2017年7月31日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月2日 文章修正・音声自動読み上げ校正

プラザロコの画像等の透かし入り画像は、平成28年(2016年)2月再訪時の画像に差し替え済み。

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