伊勢志摩めぐり(6)鳥羽駅へ

乗車した路線バスは、大通りを走らず、幅が狭く、坂のアップダウンが多い旧道を走る。終点は市内の大きな病院なので、年配女性を中心に大勢乗車している。伊勢市の様な大きな観光都市は、表通りからは生活を感じにくいが、裏道を通ると、地元の本当の雰囲気を感じられると思う。

幾つかのバス停に停まり、約15分でJR伊勢市駅南口に戻って来た。三重交通百貨店の前に降ろされる。百貨店は閉店撤退しており、人気は全くない。現在、駅前の再開発が、大きな課題になっているという。


(閉店した三重交通百貨店前からの伊勢市駅。)

百貨店前の横断歩道を渡り、駅に向かおう。時刻は、12時20分を過ぎた所である。コインロッカーに預けていたバックを回収し、飲み物等を手配する。昼食を取っていない為、改札横のキヨスクに駅弁の取り扱いを尋ねた所、あいにく無いとの事。代わりに、伊勢名物の赤福2個入りと菓子パンを購入する。

時間も十分あるので、JR参宮線を南下し、鳥羽方面に行ってみよう。跨線橋を渡り、番線ホームに向かう。次の下り列車は、12時43分発鳥羽行きである。赤福ベンチに座って待っていると、キハ11形0番台単行の下り列車が定刻通りにやって来た。緩やかに左にカーブをしながら、伊勢市駅を発車する。


(普通鳥羽行き列車のキハ11形単行が到着。)

(伊勢市駅を発車する。後方の名古屋方を撮影。)

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【停車駅】
伊勢市駅1243===五十鈴ヶ丘===1250二見浦=
JR参宮線 下り933C列車 普通 鳥羽行き
キハ11-6・単行
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乗車しているキハ11形は、参宮線のローカル列車に使われている新型軽快気動車であり、内装は現代風に明るく、ワンマン運転対応になっている。なお、自分を含めて5人のみ乗車している。


(キハ11-6の車内の様子。)

(キハ11-6の車内ロングシートに腰掛ける。)

(運転台。新しい気動車ながら、昔ながらのツーハンドルである。)

伊勢市駅からは、ほぼ東に向かって、線路は伸びている。広い平野部の為、カーブは少なく、ローカル線としては高速の時速80km位で走り、内宮を流れる五十鈴川(いすずがわ)の長い鉄橋を渡る。


(五十鈴ヶ丘駅付近。後方の名古屋方を撮影。)

(五十鈴川橋梁。後方の名古屋方を撮影。)

五十鈴川の長い鉄橋を渡り切ると、二見浦(ふたみのうら)駅に到着する。高台の島式1面2線と側線を備えた列車交換可能駅で、快速も停車する主要駅になっている。上り列車と列車交換する為、暫く停車。上下列車で10人以上の乗降があり、一時賑やかになる。

この二見は、伊勢神宮の参拝時に禊をする浜と宿場があった町であり、伊勢平野部の最東端になっている。周辺には、海水浴場、景勝地の二見浦、有名な夫婦岩、水族館の二見シーパラダイスや安土桃山を再現した文化村「ちょんまげワールド伊勢」がある。その中でも、約9mの男岩と約4mの女岩が海上に並ぶ夫婦岩は、岩の間隔は約9mあり、全長35mの大注連縄(おおしめなわ)を5本巻き、年に3回も交換されるという。また、春から夏の間は、岩の間から日の出が見られ、天気の良い日には、背後に富士山も眺められる。


(夫婦岩。※ウィキペディア公開ファイルより。撮影者の共有許諾画像。)

二見浦からの日の出は、「日の大神」と呼ばれ、内宮御祭神の天照大御神と同じだと考えられている。夫婦岩の沖合には、この近くの二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)に祀られている、猿田彦大神の霊石「興玉神石(おきたましんせき)」が、沈んでいるとされ、夫婦岩はこのふたつの鳥居として、扱われている。なお、御祭神は、「道の神・旅の神」ともされ、その神の使いは「蛙」になっており、「無事に蛙→カエル→帰る」の由縁になっている。

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【停車駅】
=二見浦1252==松下==(臨)池の浦シーサイド==1302鳥羽
JR参宮線 下り933C列車 普通 鳥羽行き
キハ11-6・単行
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列車交換を済ませ、二見浦駅を12時52分に発車する。直ぐに上り勾配になり、国道の下を潜った後、参宮線唯一の「江のトンネル」(※)に入って行く。少し長いトンネルを出ると、緑緑とした山中の水田地帯を快走。五十鈴川の支流の鉄橋と、山中のホームひとつだけの無人駅の松下駅を過ぎる。

そして、左カーブの後、左手に海原が突然見え、池の浦シーサイド駅に到着する。小さなホームのフェンスの向こうは、直ぐ海になっている。夏の間だけ停車する臨時停車駅になっており、海水浴場もあるが、徒歩20分と遠い為、あまり利用されていないらしい。

平成元年(1989年)の駅設置後、1日あたり数人程度の利用しかいない。なお、波打ち際の駅としては、JR信越本線青海川駅が国鉄時代から有名であるが、浜辺が全く無い分、実際の海からの近さは日本一かもしれない。


(池の浦シーサイド駅。)

この池の浦シーサイド駅から終点の鳥羽駅までの区間は、参宮線の一番の見処になっている。伊勢湾から南に向かって壺状になっている池の浦は、東西約1km、南北約2.5kmの大きな入り江で、「池」の名の通り、北西風が強い日以外は、静かな海面となるという。また、春から秋にかけて、ユニークなトイレ付き筏で釣りが楽しめるとの事。遠くに見える白い帆がその筏で、黒鯛、スズキやカレイが良く釣れる。なお、左手のリゾートホテルの裏手に海水浴場がある。


(池の浦と白帆の釣り筏。)

発車後は池の浦を見ながら、大きく右カーブをして走り、堤防状の線路で海上を渡る。途中の短いガーター橋の下に、小型船が通行出来る様な堤防の切り欠きがあり、右手の陸地側は、大きな魚港になっているのが見える。


(池の浦シーサイド駅から鳥羽駅間の海上線路を走る。かなりの高速である。)

海上を渡った後、左急カーブをし、池の浦南岸の宮岬を廻り込む。右からオーバーパスをした後に近鉄線が地上に降り、参宮線の左に寄り添ってくると、鳥羽駅にそろそろ到着する。

(つづく)


(※)
二見浦駅から二見町江に抜けるトンネル。江とは、入り江のこと。二見町は、五十鈴川の大きな三角州状になっているが、三角州上に山がある。西に現在の本流、東に元の本流の五十鈴川派川が流れている。

2020年4月11日 ブログから転載・文章修正・校正。

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