伊勢志摩めぐり(7)賢島へ

13時2分、伊勢市駅から所要時間約20分で、鳥羽駅の0番線ホームに到着。数人の乗客が降りる。ホームの切り欠き部の1番線に停車しているキハ75形気動車は、折り返しの上り名古屋行き13時5分発の「快速みえ12号」になる。


(0番線に到着したキハ11-6。)

(1番線に停車する上り快速みえ。)

ホームが3面7線もある鳥羽駅は、JRと近鉄の共同運営駅になっている。0・1・2番線はJR線、3・4・5・6番線は近鉄線になっており、南の市街地側はJR、北の港側は近鉄が管理する駅舎が別々にある。JRのホームは頭端式で切り欠き部があり、凸部に0番線が設けられている。

国鉄参宮線の終着駅として、伊勢市駅から延伸した明治44年(1911年)7月に開業。起点の多気(たき)駅から29.1km地点、名古屋駅から伊勢鉄道経由で100.2km地点になる。なお、近鉄線については、前身の志摩電気鉄道が、昭和4年(1929年)に鳥羽から賢島間を開通させたのが始まりである。近鉄宇治山田駅から鳥羽駅間の近鉄鳥羽線の開通は、戦後高度成長期の昭和45年(1970年)になり、鳥羽線開通時に駅舎を元の位置から北寄りの現在地に移転している。

列車の発着も多い近鉄ホームは、とても賑やかであるが、JRホームは閑散としている。しかし、幅の広いホームなので、かつては大勢の観光客が訪れたらしい。旅客上屋の屋根は、V字柱と緩やかな弧を描いた鉄製梁にトタンを渡してあり、あまり見られない珍しい構造になっている。


(JR鳥羽駅ホーム。)

ホームの駅時刻表を見ると、16時台を除いて、1時間に1-2本になっている。朝や夜の時間帯は、各駅停車が無い快速列車のみの時間帯もある。


(JRの駅時刻表。)

また、近鉄線の駅舎を移築し、JRホームに0番線がある為、ホーム番線が順に振られていない駅になっている。連絡跨線橋上から伊勢市方を見ると、左手から、〈JR駅舎・山側〉2・1(切掛け部)・0・6・5・4・3〈近鉄駅舎・海側〉になっており、順の振りではなく、かなり変則的になっている。


(連絡跨線橋から、伊勢市方の駅構内を望む。真下の線路が0番線。)

JRが管理している市街地側(山側)の駅舎に出てみよう。やや薄暗い改札と広い待合室があり、外の暑さと比べ、ひんやりとしている。駅出入口前に小さなロータリーを配し、昼下がりの為か、バスやタクシーも停まっておらず、人気がない。一昔前風のコンクリート建築の駅舎は、白壁に青の帯のラインが爽やかな感じで、「中部の駅100選」に選ばれている。また、上の二階には、レストランが営業している。


(JR鳥羽駅。直営駅ではなく、JR東海から委託を受けた業務委託駅である。)

(駅出入口。)

この鳥羽には、ミキモト真珠島、鳥羽水族館やフェリーターミナルがある。鳥羽港沖には、大小の幾つかの島もあり、その中のイルカ島(正式名称・日向島/ひなたじま)は、まるごと島がレジャーランドになっているという。
志摩マリンレジャー公式HP

13時を過ぎた所である。事前の観光情報を集めていない為、近鉄が管理する北側の改札に向かおう。近鉄側は、橋上駅になっており、改札口は昔ながらの有人である。また、近鉄側には、鳥羽港の一部の鳥羽佐田浜港や商業施設等が集まっている。

改札で案内をしている近鉄の中年男性駅員氏に色々尋ねた所、賢島観光を勧められたので、終点の賢島(かしこじま)まで足を伸ばすことにした。各駅停車で、片道40分位との事。460円の切符を自動発券機で買い、近鉄線4番線ホームへ向かう。改札の先の天井下には、ブラウン管表示の列車案内があった。関東周辺の路線では、既に見られないタイプなので、とても懐かしい。


(改札先にあるブラウン管式の列車案内。)

近鉄線は島式2面4線で、特急の長編成が停まれる長いホームになっている。この駅で折り返しの特急もあるが、引上線が無い配線になっている。


(近鉄線下り賢島方面3・4番線ホーム。)

普通賢島行き電車まで、約20分の待ち合わせになる。ホームで眺めていると、伊勢志摩ライナーや大阪、名古屋行きの特急が頻繁に発着する。特急と各駅停車を合わせて、日中は1時間に上り7本と下り5本程度もある。また、遠方の大阪行きの特急があるのも、とても不思議な感じがする。

下り方面も、サロンカーを併結する看板特急の伊勢志摩ライナー賢島行きが先発し、隣の3番線には、大阪上本町行き特急が折り返し発車を待っている。


(先発する伊勢志摩ライナー。)

(3番線の折返し大阪上本町行き特急。)

ホーム中央の長椅子に座っていると、伊勢よりも春の陽気が強く、汗を拭いながら待つ。暫くすると、13時36分発の普通賢島行き電車がホームに滑り込んで来る。ローカル線らしい2両編成のワンマン運転である。


(賢島行き普通列車。)

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鳥羽1336======1415賢島
近畿日本鉄道志摩線 下り普通 賢島行き
2両編成(車番1537に乗車)
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近鉄志摩線は、昭和4年(1929年)7月に志摩電気鉄道として、鳥羽から賢島、その先の貨物駅の真珠港まで開通した。狭軌1,067mm・架線電圧750Vの単線電化路線であった。路線長24.5km、駅数は16駅あり、利用客の少ない無人駅が多い。

当初は、日本車輌製造製の車長13m級の小型半鋼製電車が走り、その後の合併で三重交通になり、昭和40年(1970年)に近鉄志摩線になった。近鉄合併時、宇治山田駅から鳥羽駅間の近鉄線は開通しておらず、後の昭和45年(1970年)に近鉄鳥羽線として鳥羽駅まで開通している。この鳥羽線開通時に、大阪や名古屋から特急列車を直通運転する為、志摩線を近鉄線と同じ標準軌1,435mmに改軌し、架線電圧も1,500Vに昇圧されている。なお、賢島駅から先の真珠港駅まで貨物線は、前年の昭和44年(1969年)7月に廃止されている。

後方2両目のロングシートに腰掛けよう。乗客は一両に数人のみである。シートのサイド部や内装は、関東の大手民営鉄道とかなり違う印象で、新鮮に感じる。


(車内の様子。※終点到着時に撮影。)

鳥羽駅を定刻に発車。直ぐに、鳥羽水族館の大きな白い建物が見え、中之郷駅に停車する。市街地の北外れに鳥羽駅がある為、対岸の渥美半島伊良湖を結ぶフェリーターミナルと鳥羽市街中心の最寄り駅になっている。

中之郷駅を発車すると、鳥羽市街から離れ、山の中に入って行く。車窓から海は見えず、長閑な山里の中を時速40km位でゆっくり走る。鳥羽湾に注ぐ加茂川に沿って南下しながら、山中の幾つかの近代的な小さな無人駅に停車し、白木駅の先の長い青峰トンネルで、賢島線最大難所の五知峠を越える。なお、後年の改良工事により、線路の付け替えや、特急列車運行の為に一部区間を除き複線化がされている。

五知峠を越えると、分水嶺も越える。近鉄線全駅で最小乗降客数といわれる沓掛(くつかけ)駅、伊雑ノ浦(いぞうのうら)最奥部に面する経済中心地の志摩磯部駅、志摩スペイン村の最寄りの穴川駅、志摩市役所や赤十字病院がある志摩市中心地の鵜方駅を過ぎると、もう少しで賢島である。

(つづく)


2020年4月11日 ブログから転載・文章修正・校正。

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