伊勢志摩めぐり(5)伊勢神宮 その3

御手洗場の角を左に曲がり、200m程先の4つ目の鳥居を潜ると、内宮神楽殿や御饌殿等の建物が配され、祈祷の受付、お守りや御朱印等の授与をしている。この場所の対岸の川を渡った先には、別宮の風日祈宮(かざひのみのみや)が鎮座している。外宮の風宮と同じ神が祀られており、一緒に元寇襲来の国難を救ったと伝えられている。


(参道と4つめの鳥居。)

(内宮神楽殿。)

(神楽殿の参拝者玄関。右手前に、手水石の竜虎石(りゅうこせき)がある。)

更に、奥の緑緑とした参道を、歩いて行こう。この周辺は神域として、鎮座以来一度も伐採されない禁伐林になっており、古の森そのままの景観を保っている。また、不思議な事に、蜘蛛の巣や蟻塚が無いという。参道の両脇には、巨杉(きょさん)が聳え立ち、鉾の様に天に向かって真っ直ぐな事から、「鉾杉」と呼ばれ、樹齢は大凡700年前後になる。また、古くから、この杉の皮を持っていると長生き出来る言い伝えがあり、剥ぎ取られない様に竹の腹巻が巻かれている。


(巨杉の並ぶ奥参道。)

大鳥居 ・宇治橋から徒歩で約30分。長い参道を歩き、正宮前にやっと到着する。最後は大きな石段があり、その上に鎮座している。


(内宮前の石段。)

天照大御神(あまてらすおおみかみ)を御祭神し、皇室の御祖神として、また、我が国で最も貴い最高神・総氏神様になる。この地に2000年間も鎮座し、壬申の乱以降は、天皇家の守護社でもある。

一般参拝者は、外玉垣南御門で参拝をするが、御正殿は屋根の一部しか見えない。また、右手には、雨天時に祭事を執り行う四丈殿と呼ばれる屋根付き舞台の大きな建物があるのが、外宮と違う。また、内部には、天皇のみが入れる最も神聖な区域があるという。約2,060坪の敷地と内宮の配置は、外宮とほぼ同じになっており、門内には白黒の玉石を敷き詰め、唯一神明造の御正殿と幾つかの建物、四重の塀と五つの門が構えている。正宮の左隣には、外宮と同様に式年遷宮に使う新御敷地がある。

ちなみに、御正殿の鰹木は10本、千木は内削ぎとなり、言い伝え通りに女神を表す。天照大御神が天の岩戸に隠れた際、外に引き出したきっかけになった鏡「八咫鏡(やたのかがみ)」が本当の御神体といわれている。


(内宮前。)

(新御敷地。)

伊勢神宮への参拝は古くから行われており、「一生に一度は、お伊勢さん」、「おかげまいり」は、今でもよく知られている。平安時代から参詣者が訪れる様になり、後に各地に末社が建立され、御師(おし)と呼ばれる神宮を伝道する神職が、伊勢暦や御札を配り、全国の民衆の間に信仰が広がっていった。

農村では、伊勢講と呼ばれる互助組織が作られ、村民から少しずつお金を出しあって積み立てた。農閑期には、村の代表として、伊勢神宮に順番に参拝させる仕組みが出来たという。なお、太平な世の中になった江戸時代は特に盛んになり、庶民や農民の旅行は厳しく取り締まりされていたが、伊勢詣ならば、ほぼ無条件で関所の通行手形が発行されていた。特に慶安3年(1650年)以来、約60年周期で「おかげ年」と呼ばれる参拝の流行が繰り返され、その年には、当時の日本の人口の1割から2割が参拝した。

参拝後は順路に従って、宇治橋に戻ろう。細い裏参道の途中に、小さな高床式の建物が建っており、唯一神明造の建築様式を間近で見られる。また、建物本体に対して屋根が大きく、長い傾斜面が、どこか日本的に感じる。御稲御蔵(みしねのみくら)は、神田で収穫された天照大御神に奉じる稲穂を保管する蔵で、御稲御倉神も御はし、祭事も執り行なわれている。


(御稲御蔵。)

この外弊殿(げへいでん)は、元々は天皇家の宝物を保管し、現在は古い神宝を保管する倉庫である。


(外弊殿。)

暫く歩くと、正宮裏側の窪地に荒祭宮(あらまつりのみや)があり、長い石段を下って行く。なお、石段の途中に、天から降ってきたと伝えられる、天の字に四つ割れた石がある。踏まぬ石と呼ばれ、「踏んでは、ならない」とされているが、気が付かなかった。


(荒祭宮への石段。)

荒祭宮は規模も大きく、前の石段の真ん中にも、見事な鉾杉が聳えている。内宮正宮と同様に、石段を上がった一段高い所に鎮座し、天照大御神の荒御魂を祀る内宮第一位の別宮になる。なお、宮域には、この荒魂宮と風日祈宮、宮域外に八つの別宮があり、天皇の勅使は、内宮とこの荒魂宮のみ参行し、特別な扱いの別宮になっている。


(荒祭宮。)

表参道に合流し、宇治橋まで戻って、五十鈴川を渡る。大鳥居の左手にある、おはらい町とおかげ横丁をゆっくり見学したいが、正宮よりも大変な雑踏である。残念であるが、今回は諦めよう。門前町のおはらい町と、平成5年(1993年)に整備された江戸時代風の街並みのおかげ横丁は、内宮観光のもうひとつの目玉になっている。有名な赤福本店をはじめ、飲み喰い処、土産店や歴史館(有料)等が所狭しと建ち並んでいる。


(おかげ横丁。)

しかし、近鉄五十鈴川駅を目指して歩いていたが、途中で道に迷ってしまった。途中で見つけた伊勢市駅行きの路線バスに乗車して、伊勢市駅に戻る事にする。見学予定の近鉄宇治山田駅に行く事が出来ないのが、惜しい。

伊勢神宮公式HP
伊勢市観光協会公式HP
おかげ横丁公式HP


外宮(げくう) →伊勢市山田にある豊受大御神を祀る神社。別名・豊受大神宮。
内宮(ないくう)→伊勢市宇治にある天照大御神を祀る神社。伊勢神宮の中心。
別名・皇大神宮。
正宮(せいぐう)→最も尊い神社で、天照大御神と豊受大御神を祀るふたつの神社のみ。
別宮(べつぐう)→正宮に次いで尊い神社で、正宮の分身とされる。
御正殿(ごしょうでん)→御神体が奉斎されている建物、本殿のこと。
神楽殿(かぐらでん)→神楽や祈祷などの受付、御札やお守りの授与を行う社務所。
宮域(きゅういき)→境内のこと。
御饌(みけ)→神に捧げる供物・食事のこと。
荒御魂(あらみたま)→神のもう一つの側面である荒ぶる魂のこと。


2020年4月7日 ブログから転載・文章修正・校正。

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