わ鐵線紀行(22)大間々駅 その3

下り1番線ホーム中央にある改札口に行き、駅舎本屋を見てみよう。木製改札では無く、銀色に光る簡素な円柱パイプであるが、これも国鉄を感じさせる。腰下に人造大理石(テラゾー)を使い、ソリッドな駅舎デザインが特徴である。

大きな嵌め込みガラス、穴が無数に開いた銀縁の丸い会話口や金銭を受け渡しする石台の精算所もそのままになっており、国鉄駅はこんな感じであったと思い出す。なお、有人時間帯では、列車発着時以外、改札は閉鎖される(許可を貰えば、ホームでの見学撮影は可)。


(ホーム側改札口と精算窓口。)

見学・撮影の御礼を言い、改札を通る。右手には、有人の出札口とスタンドアローン型の自動券売機や電光式運賃表もあり、開業当時からの沿線一の中心駅としての貫禄を感じる。なお、出札口は、朝7時半から夕方17時15分までの時間限定になっている。

自動券売機の後ろの掲示板の場所が、鉄道手小荷物窓口跡らしい。当時の大間々は、人や物資が沢山集まったと言う。鉄道手小荷物の扱いも多かったと思われる。


(出札口と鉄道手小荷物窓口跡。)

(タッチパネル式食券型のスタンドアローン自動券売機。)

(有人の出札口。真後ろは、精算口になっている。)

電光式運賃表を見上げると、JR高崎駅・小山駅・宇都宮駅や東武線浅草駅・大宮駅までの他社線連絡切符(金額式)も、発券している。勿論、昔ながらの硬券入場券もあり、訪問記念に購入も出来る。


(電光式運賃表。)

駅時刻表を見ると、上下共に毎時1本の運行であり、昼過ぎの14時台等の一部時間帯は無い。朝夕の時間帯は、上り桐生行きの区間列車がある。また、下り列車の最終列車は、21時39分発の足尾行きになる。なお、桐生から大間々間は通勤通学客も多く、上神梅に住む中学生も、この大間々まで列車通学をしている。


(駅時刻表。)

改札の上には、オリジナルのキャンペーン用大型ポスターも貼ってあり、目を引く。春夏秋冬の四つのバージョンがあり、わたらせ渓谷鐡道の魅力を上手にアピールしている。このポスターを見て、何度も再訪問する人も多いはずである。

今年、新型気動車が導入されたのを記念し、冬の新バージョンも制作されている。土産に欲しい程の素晴らしい出来であるが、残念ながら、非売品である。
わたらせ渓谷鐡道公式HP「わ鐵キャンペーンポスター」(明るい画像あり。)


(わたらせ渓谷鐵道公式ポスター。左から、春夏秋冬の順。)

(左側が冬の新ポスター、右は秋のポスター。相老駅下り2番線ホーム待合室内にて撮影。)

撮影地は、春は小中駅近くの杲(ひので)小学校付近、夏は場所不明(本宿から水沼間の古路瀬渓谷かもしれない)、秋は神戸(ごうど)駅ホーム南側、冬は神戸から沢入間の第一渡良瀬川橋梁、冬の新バージョンは間藤駅手前付近と思われる。

出札口向かいの待合室を見てみよう。天井がとても高く、30畳程ある広い待合室には、テーブルも中央に置かれ、待合中に団欒も出来る。大きな沿線観光パネルがあり、壁に沢山貼られた啓蒙ポスターも、ローカル駅の雑多な生活感がある。奥の壁面では、地元写真ファンのミニ写真展を展示している。


(待合室全景。)

天井を見上げると、当時の昭和モダン風の独特なデザインなっている。茶色の長い棹が何本も取り付けられており、こちら側と向う側では向きが違う。なお、四角の部分は、冬期のストーブ排煙口である。


(昭和モダン風の天井。)

観光看板の前に、大きなガラスのショーケースが置かれ、オリジナルグッズが沢山並んでいる。グッズの開発や販売はとても積極的に行っており、オリジナルキャラクター「わっしー」のグッズも増えている。


(オリジナルグッズのショーケース。※追加取材時に撮影。)

待合室南側の壁面には、L字に据付けられた木製ロングベンチがあり、コンクリートの土台の上にベンチを置いたしっかりとした構造になっている。わたらせ渓谷鐵道の駅の中でも、特に個性的なデザインになっている。


(待合室の木造ベンチ。)

そのまま、駅前に出てみよう。駅舎は西に面して建っており、屋根が高く、傾斜も急な平屋建てになっている。冬の赤城おろしの季節風避けの風防室があり、外からは、駅出入口が見えない。また、大型観光バスも乗り入れが出来る広い駅前広場があり、直営駐車場も設置されている。


(大間々駅。左の大きな電光表示板は、みどり市の災害・広報用らしい。)

(開放式の風防室内。向こうの建物は、公衆トイレになる。)

残念ながら、明治44年(1911年)の開業時の建物ではなく、市場と足尾への中継駅として、往来が盛んになった為、昭和16年(1941年)に建て替えられている。戦時中の簡易なデザインの木造モルタル駅舎になっており、中央の大きなセメント瓦の三角屋根と、腰下に人造石を使った昭和なデザインになっている。


(風防室窓下には、一部カットされた国鉄時代の鉄製駅名標が、掲示してある。)

現在のJR両毛線岩宿駅が大間々駅(当時は両毛鉄道)として、明治22年(1889年)に開業していた為、この大間々駅の最初の駅名は、大間々町駅であった。足尾鐵道の開業直後、両毛鉄道の大間々駅が岩宿駅に変更され、翌年、現在の大間々駅に改称されている。なお、大間々町の南に両毛鉄道の駅を設置する計画であったが、ルートが変更され、岩宿に設置された。事前申請済みの大間々駅の駅名を、そのまま使った事から、駅名のバトンリレーの様になった。両駅の直線距離は、4.7kmもある。

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鐵道大間々駅駅舎本屋」

所在地 群馬県みどり市大間々町大間々1360-1 他
登録日 平成21年(2009年)11月2日
登録番号 10-0301
年代 [駅舎本屋]昭和16年(1941年)
[旅客上屋]昭和4年(1929年)※建て替えの為。
構造形式 [駅舎本屋]木造平屋建、瓦葺、建築面積166㎡。
特記 駅舎本屋は木造平屋建。南北棟の切妻造セメント瓦葺の主棟に、
直交する切妻屋根を架け、正面玄関とする。
外壁は白色モルタル仕上げ。簡明な駅舎建築。

(文化庁公式ページの国指定文化財等データベースを参照・編集)

(つづく)


2017年8月12日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月12日 文章修正・音声自動読み上げ校正

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