樽見線紀行(5)日当へ

暫くの間、神海駅(こうみ-)の下り2番線に停車する。ホームには、雨晒しのプラスチック製ベンチが、侘しい感じを醸し出している。なお、神海駅構内の樽見方の線形やポイントは、国鉄時代は長らく終着駅であった為、少し変わった線形になっているのが判る。


(樽見方。下り線の線路が、上り線に寄ってから、ポイントで纏まる。)

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【停車駅】 斜字;列車交換可能駅、〓数字;第◯根尾川橋梁、】【;トンネル
神海956 =〓3=高科=〓4=鍋原=〓5】【〓6=〓7】【〓8=日当
下り13列車・普通樽見行き(ハイモ295-516・単行)
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この先も、長い登り勾配がずっと続く。終点の樽見駅まで、列車交換設備がある途中駅は無い為、ひとつの閉塞区間となって、常に一列車しか運行が出来なくなっている。なお、神海駅から樽見駅間は、第三セクター転換4年後の平成元年(1989年)3月に、延伸開通した新線区間である。国鉄時代の日本鉄道建設公団によって、七割方の工事が完成していたが、昭和55年(1980年)に成立した国鉄再建法の為、工事が全面凍結されていた。

神海駅は列車交換設備があるが、この時間帯の列車交換は無く、9時56分に発車する。片開きのスプリングポイントで、線路が纏まった後は、暫く真っ直ぐに走り、大きく右カーブをした後に林に入ると、デッキガーター鉄橋の第三根尾川橋梁を渡る。この第三根尾川橋梁左手の対岸に、樹高36m・樹齢1,000年以上と言われる「伊野の一本スギ」と言う巨杉(きょさん)が見え、県の天然記念物になっている。なお、根尾谷周辺には、巨樹や老樹が多く、多数が天然記念物に指定されている。


(第三根尾川橋梁を渡る。トラス部の無い、デッキガーター鉄橋である。)


(国土地理院国土電子Web・神海から鍋原間。)

第三根尾川橋梁を渡り、コンクリート切り通しの勾配を登って、水田が広がる高科駅(たかしな-)と、第四根尾川橋梁先の鬱蒼とした木々の中の切り通し直線部にある鍋原駅(なべら-)に停車する。この付近になると、人家も少なく、集落と水田以外は鬱蒼とした針葉樹林が広がる山中になっており、根尾川の両岸の狭い平坦地を左右に渡りながら、北上して行く。

高科から鍋原間の第四根尾川橋梁は、レールは枕木無しの鉄骨固定、通路部がトラス外に張り出し、床面は全面金網張りと、樽見線の数ある大型トラス橋の中でも特徴がある。


(第四根尾川橋梁を渡る。復路後方から樽見方を撮影。)

なお、鍋原駅の近くには、根尾川なべら温泉と呼ばれる日帰り入浴出来る大露天風呂があったが、残念ながら、数年前に閉鎖されているらしい。


(鍋原駅。復路後方から樽見方を撮影。※カメラ本体の反射写りは、ご容赦を。)

なお、この新線区間は、戦後の高度成長期の建設の為、大規模土木工事による切り通しやトンネル掘削で、山間部の割には直線区間が多い。橋梁以外の枕木はコンクリート製、レールも重軌化しているので、列車速度はとても速い。


(鍋原駅から樽見方の切り通し部。左右の杉の植林も見事である。)

鍋原駅を発車し、大きく右に曲がると、鉄橋上で大きく左カーブをしている第五根尾川橋梁を渡る。樽見線の根尾川に架かる代表的な鉄橋であり、桜、新緑や紅葉の名所になっている。なお、下り樽見行き列車は、運転士の観光案内放送と徐行運転のサービスがある。


(27㎞ポスト付近にある第五根尾川橋梁。川は、右から左へ流れている。)


(国土地理院国土電子Web・鍋原から日当間。)

この付近から大きな岩肌が両岸に露出する深い渓谷になっていて、激しく川が蛇行しながら、上流に数キロ続いており、金山渓谷(かなやま-)と呼ばれている。この根尾川は、福井県と岐阜県の県境の山岳地帯のふたつの川が、樽見付近で合流して南下し、本巣の西を流れて、揖斐川に合流する。かつては、藪川(やぶかわ)と呼ばれた。なお、ダムも東側の支流にひとつしかないので、水量も多い。

また、根尾の名は、白山信仰の能郷白山(のうごうはくさん)の麓にある事が由来で、尾根は山の頂き、それをひっくり返して、山の麓「根尾」に転じた。ちなみに、14世紀の南北朝時代の書物にも、根尾の地名が出ている。


(第五根尾川橋梁から根尾川上流方を望む。)

(同下流方。)

第五根尾川橋梁を徐行して通過すると、加速しながら、長さ460mの舟山トンネルに突入する。鍋原駅から日当駅(ひなた-)間は、根尾川の流れが左右に目まぐるしく変わり、トラス橋とトンネルを次々に通過するハイライト区間になっている。「第5橋→舟山トンネル→第6橋→第7橋→宇津志トンネル→第8橋→日当駅」と連続し、長い登り急勾配の為、エンジンも豪快に吹き上がるので、とてもスリリングである。


(鍋原から日当間。鉄橋とトンネルの連続区間に差し掛かる。)

エンジン音が車内に大きく轟き、力強く走って行く。20‰(パーミル)以上の連続登り勾配であるが、道床状態やレールも良いので、時速は約60kmと山線のローカル線としては、かなり速い。外の景色は、鬱蒼とした山の中の為に単調であるが、まるでジェットコースターの様に楽しい。


(第七根尾川橋梁を高速で渡るハイモ295-516。前方は、宇津志トンネル。)

この第八根尾川橋梁と日当トンネルの入口に挟まれた左側に、日当駅ある為、第八根尾川橋梁上で減速をする。


(宇津志トンネルを抜けて、第八根尾川橋梁を渡る。)

(つづく)


2017年7月28日 FC2ブログから保存・文章修正・校正
2017年7月28日 音声自動読み上げ校正

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