大鐵本線紀行(24)地名駅 前編

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青部1450==駿河徳山==田野口==下泉==塩郷==1513地名
上り 普通 金谷行き
大井川鐵道21000系(元・南海電気鉄道)2両編成
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先程の千頭行き下り電車の折り返し列車が、青部坂を下って来た。次は、五駅先の地名駅(じな-)に向かおう。


(元・南海電気鉄道の21000系が到着する。)

定刻の14時50分に青部駅を発車。隣駅の大きな木造駅舎の駿河徳山を過ぎ、大井川の雄大な流れを右窓に見ながら、のんびりと南下する。田野口駅、下泉駅、そして、大井川の「鵜山の七曲り」の上流側出入口にある塩郷駅に停車する。

塩郷駅は、大井川に面し、雄大な景色を展望出来る単式ホームの駅である。近くには、大井川一と言われる長さ220mある大吊り橋も架かっている。吊り橋の下を列車が潜り、車窓からも見える観光名所になっている。

塩郷駅を発車し、大井川の大蛇行に沿った塩郷の大カーブを曲がり、トンネルを抜けると、大井川東岸の広い平坦地にある地名駅に、15時13分に到着する。地元の乗客もふたり降り、列車は直ぐに発車して行く。


(直ぐに上り金谷行き電車が発車。)

この地名(じな)は、「鵜山の七曲り」の途中、大きくCの字に蛇行した半島状の場所にある。西に向いた大きな扇状地にある大きな集落になっており、現在の人口は約570人、駅周辺の標高は約200mあり、傾斜地の茶畑が広がっている。


(国土地理院国土電子Web・地名付近。)

扇状地の中段に駅があり、昭和5年(1930年)7月の開業になる。家山駅から地名駅まで延伸開通した際に開業し、次の塩郷駅までの開通は、約2ヵ月後であった。島式一面二線の列車交換可能駅、起点の金谷駅から22.9km地点、11駅目、所要時間約40分、1日平均乗車人数約20人、榛原郡(はいばら-)川根本町地名、標高203mの終日無人駅である。

4両編成程度が停車できる島式ホームがあり、乗客が多かった頃は、4両編成の電車が運行されていた。また、SL急行列車は上下列車共に通過するが、臨時団体列車が停車する事があり、その時は客扱いも行う。


(改札口前からの地名駅ホーム全景。)

(ブリキ製の建て植え式駅名標。)

千頭方の本線ポイント付近には、山の無いトンネルとその先に地名トンネルがある。昔からの盛土のホームになっており、幅も広く、舗装は両端の縁部分のみになっている。


(千頭方。)

金谷方は、スロープ下に砂利の通路と構内踏切、古い木造保線小屋がある。向こうの踏切先からは、20‰(パーミル)の下り急勾配・通称「地名坂」があり、山間部に入って行く。


(金谷方と構内踏切。)

スロープ下には、駿河徳山駅と同じ電鈴式踏切が設置されている。警報機の高さはあまり高くなく、2m程あり、頂上に大きな電鈴が付いている。けたたましい電子警報音でなく、金属のベルを叩く、「チン、チン、チン、チン」と優しい音色がする。


(電鈴警報機。)

(てっぺんに設置されている電鈴。)


(YouTube地名駅電鈴踏切。※音量注意。再生時間47秒。)

開業当時の木造駅舎がそのまま残っており、大井川鐵道本線の中では、中型の木造駅舎になっている。現在は、無人駅になっており、駅事務室は倉庫として使われている。


(駅舎本屋。)

(改札口周辺。)

駅前に出てみよう。出入口横には、古い消火栓や観光案内板も設置され、左側の瓦屋根が軒下まで下りているのが、この駅舎の特徴である。白いトタン屋根下の土間部分は、自転車置場らしい。


(駅前出入口。大きな三角屋根の車寄せが特徴である。)

(駅前からの駅舎。)

ホーム横には、広いスペースがあり、側線や貨物ホームがあったのかもしれない。現在は、地元の人が使う小道と駐車場になっている。


(千頭寄りからのホーム全景。)

(つづく)


2017年8月6日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月7日 文章修正・音声自動読み上げ校正

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