大鐵本線紀行(16)神尾駅 前編

平成23年(2011年)の春旅は、毎年恒例の大井川鐡道に行こう。今春は、SL急行には乗車せず、昨年訪問できなかった駅の木造駅舎めぐりをしよう。沿線名物の桜の開花を待っても良かったが、大変な混雑になる事から、昨年より一週間早めの訪問にした。

自宅から最寄り駅の始発電車に乗り、先ずは、新横浜に向かう。東日本大震災の計画停電の影響により、東海道線の一部列車が運休になる可能性があり、終日通常運転をしている東海道新幹線を利用する事にした。

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新横浜600 東海道新幹線 N700系16編成 ひかり493号広島行き 5号車785-314
641
静岡650 東海道本線 211系+313系併結 浜松行き 3+3両編成 3号車クモハ211-5044
721
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既に、下り副本線の4番線ホームに入線しているひかり493号広島行きの自由席に乗車する。新横浜駅始発の朝6時丁度に発車し、終点の広島駅には、10時直前に着く朝一番列車になっている。静岡駅で在来線に乗り換え、大井川鐵道の起点駅がある金谷駅(かなや-)まで向かおう。早朝列車であるが、座席の四割程度が埋まり、車内販売も始まっている。


(下り広島行きひかり493号。ひかり号であるが、N700系である。)

在来線利用よりも2時間も早い、乗車40分程で静岡に到着。9分後に発車する東海道本線の下り浜松行き列車に乗り換える。浜松行き列車は、座席が半分埋まる程度の混雑であり、車内も暖房が効いている。

島田を経由し、大井川の長さ1kmの大鉄橋を渡り、金谷駅に7時20分に到着。隣接する大井川鐵道金谷駅に向かう。清々しい朝であるが、予報では風も強く、肌寒い一日になりそうである。


(早朝のJR金谷駅ホーム。)

(大井川鐵道金谷駅。)

小さな駅舎に入ると、構内売店は閉まっているが、駅員氏は詰めている。朝の7時台に到着するのは、初めてである。いつものフリー切符「大井川線自由キップ(大人3,620円)」を初老の駅長氏に頼むと、手際良く発行してくれる。


(大井川鐵道金谷駅待合室。)

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金谷736======755神尾
下り 普通 千頭行き
大井川鐵道3000系2両編成 2号車3007に乗車
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直ぐに、折り返し7時36分発の下り千頭(せんず)行き電車が入線して来た。元・京阪電気鉄道3000系テレビカーから、コート服に身を包んだ男性通勤客が数人下車し、この金谷駅から10人程が乗車。数分後にタイフォンを鳴らし、定刻に発車する。

3000系の京阪電気鉄道時代は、乗客サービスや競合他社との差別化の為、特急車内にテレビを設置し、NHKニュースやプロ野球中継等を放映した事から、この名の由来がある。現在は、テレビは撤去されている。


(大井川鐵道金谷駅ホーム。)

(元・京阪電気鉄道3000系テレビカーの車内。)

今年の3月は寒い日が続き、春の到来も1-2週間遅い感じになっており、沿線は冬の感じが残っている。金谷駅からの乗客の半分が、新金谷駅の次の駅の代官町で下車する。代官町駅前には、役場の支所や公立図書館があり、そこの勤務の人達らしい。


(新金谷付近の車窓。)

残りの数人の乗客を乗せ、日切駅(ひぎり-)、五和駅(ごか-)と停車し、架線に給電をしている五和変電所横を過ぎた先から、町から離れて行く。朝日が照らす山の方に延びる上り勾配を、ジョイントを踏みしめながら、「カタン、カタン」と、心地良いローカル線のリズムでゆっくりと走る。

右窓に大井川が見え始め、短いトンネルを抜けると、7時55分に神尾駅に到着。木造駅舎は無いが、鉄道ファン的には外せない駅の為、途中下車をしよう。乗車した千頭行き列車は、直ぐに発車する。


(発車する千頭行き電車。)

この神尾駅は、起点の金谷駅からは9.8km地点、5駅目、所要時間約20分、島田市神尾、標高115mの終日無人駅になっている。元々は、榛原郡(はいばら-)金谷町神尾であったが、平成17年(2005年)5月に金谷町と島田市が市町村合併し、島田市になっている。


(厚みのあるボックスタイプの建て植え式駅名標。)

また、大井川鐵道本線の中では、一番の秘境駅と言われている。東側は大井川と川崖、西側にも大きな崖、駅の前後はトンネルで挟まれており、駅まで唯一連絡する一本道があるが、神尾集落まで約1kmもあり、国道はその先になる。なお、大井川も、神尾集落のある瘤状の半島状の場所を、180度廻り込む大蛇行になっている。駅の西には、南アルプス稜線最南端の神尾山(標高551m)が迫り出し、東海道から川根方面(かわね-)に抜ける国道の地蔵峠も、古来からの難所になっている。


(国土地理院国土電子Web・神尾周辺)

ホーム北端から千頭方を見ると、細いスロープ、警報機の無い構内踏切と開放式の待合室があり、その先には、地蔵峠トンネルと大きな保線小屋が建っている。


(千頭方。)

ホームの金谷方、反対側に歩いて行くと、朝早々、神尾駅の主が出迎えてくれる。「何処から来た」と、問い掛けられる様である。


(神尾駅の主。)

(秋には、すすきを持っている時がある。)

ホーム南端から金谷方を望むと、高さ50m程ある垂直に切り立った大きな崖と、右カーブの先に牛御前トンネルがある。


(金谷方。)

金谷方からホームを見ると、ホーム幅は一番広い南端で2m弱あり、千頭方に行くほど細くなり、北端のスロープ部分は幅1m位と、とても狭い。3両編成程度の長さがあり、スペースの関係からか、上りの川側が直線の本線、下りの山側が分岐方の副本線になっている。


(ホーム全景。)

(つづく)


2017年8月5日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月5日 文章修正・音声自動読み上げ校正

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