蒲郡線紀行(2)こどもの国へ

この蒲郡線は、名古屋鉄道としては、吉良吉田方が上りであるが、東海道本線に合わせて、蒲郡から吉良吉田方向が下り表示になっている。また、蒲郡駅と隣駅の蒲郡競艇場前駅がJR東海道本線に接続し、終点の吉良吉田駅は名古屋鉄道西尾線に接続しているので、行き止まりの盲腸線では無い。

沿線は、三河湾沿いを走る路線の為、景色も良く、浜辺の近くを走る区間もある。線形は平坦と思いきや、アップダウンやカーブも多い、戦前敷設の鉄道の特徴がある。また、本格的な峠越えは無く、トンネルはひとつも無い路線になっている。

途中駅の開業年は、鳥羽三河駅が三河鉄道時代の昭和4年(1929年)8月、他の駅が、三河鳥羽駅から蒲郡駅まで延伸した昭和11年(1936年)7月となり、蒲郡競艇前駅のみが昭和43年(1968年)10月の追加設置駅である。なお、太平洋戦争中の休止駅や廃止駅も、若干あった模様である。現在、起点終点駅以外の全ての途中駅が、無人駅になっている。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
蒲郡0741======0808吉良吉田
下り763列車・吉良吉田行(6010編成2両編成)

◆蒲郡線の停車駅(蒲郡駅からこどもの国駅間)◆

【蒲郡】東海道本線に接続・駅としては、官鉄時代の明治21年(1888年)開業。

【蒲郡競艇場前】東海道本線に接続・昭和43年(1968年)追加設置駅

【三河鹿島】

【形原(かたはら)】列車交換可能駅

【西浦】列車交換可能駅・木造駅舎あり・主要駅

【こどもの国】
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++

蒲郡駅を定時の7時41分に発車する。祝日である為か、乗客は少ない様子で、2両編成に10人程度の乗客である。カルダン駆動の中低音の詰まった様な乾いたモーター音が唸り、心地良く加速して行く。

蒲郡は東西4km・南北3km程度の広さで、背後の三方を山に囲まれており、平地が少ない。背後に聳える遠望峰山や三ヶ根山(さんがねさん)を見ながら、市街地の中を西に走る。


(蒲郡の町並み。直ぐ、山が迫っている感じである。)

(脱着式ブレーキハンドルを使う車両も、少なくなった。)

蒲郡駅から暫くは、東海道本線に並走する区間となり、近代的な円形パイプ架線柱が並ぶ、単線の高規格高架線になっている。平成12年(2000年)に竣工し、工事中は、東海道本線の下り線とホームを借用したとの事。


(蒲郡市街の高架部。※上り蒲郡行き列車の最後部から、後方の吉良吉田方を撮影。)

時速90kmまで出し、東海道本線と共に大きく左にカーブをすると、蒲郡競艇場前駅に2分程で到着する。単式ホームの蒲郡競艇場前駅は、昭和43年(1968年)に追加設置された駅で、廃止された塩津駅と捨石駅の統合も兼ねており、当初は利用客も多かったらしい。しかし、昭和63年(1988年)に、東海道本線の三河塩津駅が隣接して開業すると、利用客が奪われて、閑散となってしまった。


(蒲郡競艇場前駅。丁度、東海道線上り特別快速浜松行313系5両編成と出会う。)

この競艇場前駅で、東海道本線と別れて、進路を西から南に変える。高架からそのまま地上に接続すると、蒲郡駅からのロングレールも終りになり、昔ながらのジョイント音を速いサイクルで鳴らしながら、軽快に走って行く。

直線部の時速は60-70kmあり、ローカル線としては速く、線路状態は比較的良好である。また、発車時の起動も鋭く、カーブでもあまり速度を落とさないので、関東の鉄道に乗り慣れていると、キビキビとしたランカーブ(運転曲線)を感じる。


(蒲郡競艇場前駅から三河鹿島駅間。激しいアップダウンで、線路が波打っている。)

三ヶ根山(さんがねさん)を右手に見ながら、蒲郡から続く市街地の中を走る。アップダウンのある直線区間を走り、街道沿いの三河鹿島駅を過ぎると、上り勾配になって、国道247号線を跨ぐ幅の広い高架線を通過する。将来の蒲郡線複線化を予定して、幅広の高架橋が造られたが、頓挫してしまったとの事。


(三河鹿島駅。線路は内陸部に入っているので、海は見えない。)

(国道247号線と立体交差をする高架橋を登る。)

左カーブをした後、線路は直線の南進になり、家々が建て込んで来ると、最初の列車交換可能駅である、形原駅(かたはら-)に到着。乗降客も多少あり、蒲郡線内で対向式ホームのある駅は、この駅と三河鳥羽駅のみになる。この町は、大きな港のある漁業の町で、海産物屋や美味しい食堂が多いらしい。近くの山に温泉もあるらしいが、昭和の観光ブーム以降、大分廃れてしまっているらしい。


(形原駅上り2番線。蒲郡方に5パーミル下がる、勾配の中に駅がある。)

形原駅から西浦駅までは、家々が建ち並ぶ狭い場所を走り、なかなか面白い。上り勾配が続き、蒲郡駅から10分程で、西浦駅に到着。かつては、機関区や乗務員の詰所も置かれた蒲郡線一の主要駅で、三河湾に突き出す西浦半島の根元にあり、この周辺の有名温泉である西浦温泉の玄関駅でもある。

この駅で、上り860列車・蒲郡行きと列車交換を行う。なお、列車交換が無い場合の各駅の停車時間は1分程なので、ワンマン運転の運転士は結構忙しそうである。


(西浦駅。蒲郡線の駅は、町の住宅地の中に、さり気なくある印象である。)

西浦駅からも、上り勾配が続き、時速70km程で力走している。この付近は、道床が弱いらしく、横揺れがやや激しい。

そのまま、住宅の中の半径300mの右大カーブを高速で抜けて、進路を西に変えると、突然、白い浜辺が広がるハイライト区間になり、青い三河湾が左窓に広がる。緩やかな大S字カーブをなぞるこの区間を、「三河の呉線」と言う鉄道ファンもいる。いつまでも見たい風景であるが、上り勾配の盛り土部から山の中に入り、切り通し部を抜けると、こどもの国駅に到着する。


(「三河の呉線」区間。砂浜と松の植林が見られる。)

こどもの国駅は、県立愛知こどもの国の玄関駅として開業し、単式ホームの高台の駅になっている。かつては、名古屋方面からの直通特急列車も、やって来たとの事。ホーム下から海寄りに町が広がり、三河湾と西浦半島、遠くに渥美半島の山々が見える。


(こどもの国駅。同名の駅として、関東の東急電鉄こどもの国駅がある。)

(停車中の列車から、三河湾を望む。左は西浦半島、遠くの山々は、渥美半島になる。)

こどもの国は、昭和49年(1974年)に開園した児童総合自然遊園で、100万平方メートルの敷地に、大きなふたつの丘がある。園内では、8t級コッペル風国産小型蒸気機関車のB11まつかぜ号とB12しおかぜ号が運転され、全国の遊園地の遊覧蒸気鉄道のはしりである。丘の上からの雄大な三河湾を望みながら、路線長1,135mの軽便専用線(軌間762mm)を、ゆっくりと遊覧運行している(※)。
愛知こどもの国公式HP


(※B11まつかぜ号とB12しおかぜ号)
昭和49年(1974年)製・協三工業製造のB軸配置である。B12しおかぜ号は、ボイラー故障の為に休車中。募金活動をしている。

【参考資料】
名鉄西尾・蒲郡線沿線おすすめマップ(市民まるごと赤い電車応援団・2014年)

線路撮影は、運転の支障になる為、同列車折り返しの蒲郡行き列車の最後部から撮影。

2017年7月14日 FC2ブログから保存・文章修正(濁点抑制)・校正

© 2017 hmd all rights reserved.
文章や画像の転載・複製・引用・リンク・二次利用(リライトを含む)や商業利用等は固くお断り致します。

This site is protected by wp-copyrightpro.com