屋代線紀行(8)須坂駅 その1

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【停車駅】◎→列車交換可能駅 〓→主な鉄橋
綿内◎0942====井上==〓=〓==0950須坂(※屋代線終点)
上り410列車・須坂行き(←3526+3536 長野電鉄3500系O6編成・2両編成)
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綿内駅(わたうち-)1番線ホームに、須坂行き電車が滑り込んで来る。発車間際には、乗車客が更に増え、8人が乗車する。父親に連れられた幼稚園位の小さな女の子や、車で来た子供ふたり連れの家族が、駅見学や電車の見送りに来ており、一時賑やかになる。


(上り須坂行普通電車が到着。)

通勤通学の時間帯は過ぎたが、2両編成の車内は、30人程乗車している。発車後、線路が単線に纏まると、大きくて緩い右カーブを曲がり、直線に入る。この付近も、住宅、果樹園や畑が混在しており、ローカルさが残る風景になっている。上信越自動車道の須坂長野東インターチェンジと高速道高架下を過ぎ、井上駅に停車。棒線駅の小さな駅だが、意外にも、数人の乗車客がある。井上駅を出て暫く走ると、見晴らしが良い築堤に上り、ふたつの鉄橋を渡った後、なだらかに降って行く。

そして、線路際に住宅が多くなると、間も無く終点の須坂駅である。自動アナウンスの案内も始まり、右手に側線とその先の左手に本線が見え、減速しながら駅構内に進入する。

9時50分、綿内駅から所要時間8分で、須坂駅4番線ホームに到着。隣の中線(なかせん)には、昨年春に引退した、長野電鉄のマスコット電車の2000系A編成マルーン色が、留置されている。数人の撮り鉄もホームに来ており、ちょっとした撮影会になっている。


(須坂駅4番線ホームに到着。2000系A編成マルーン色と並ぶ。)

この須坂駅は、長電長野駅と湯田中駅を結ぶ、長野電鉄本線の途中主要駅であり、屋代線の終着駅でもある(厳密には、須坂方が上りの為、現在は起点駅になる)。屋代線の前身・河東鉄道開通時の大正11年(1922年)6月に開業した古い駅で、起点の屋代駅からは、12駅目、24.4km地点、所要時間約36分になる。なお、本線の長電長野駅からは、12駅目、12.5km地点、所要時間約25分(普通電車利用時)になっている。


(長野電鉄オリジナルの建て植え式駅名標。)

大正11年(1922年)6月、現在の屋代線である屋代駅から須坂駅までが先に開業し、3年後の大正14年(1925年)7月には、須坂駅から木島駅(現在廃止※1)までが延伸開通した。実は、長電長野駅から須坂駅までの現在の本線は、長野電気鉄道による敷設で、大正15年(1926年)9月に河東鉄道に合併され、現在に至る。その際、今の社名の長野電鉄に社名変更した。かつては、「屋代〜松代〜須坂〜木島・湯田中」の屋代線ルートが、国鉄信越本線にも接続し、国鉄直通急行も乗り入れる程のメインであったが、時代の移り変わりと共に、現在の本線の「長電長野〜須坂〜湯田中」ルートが、メインに変わった。

須坂駅のホームを見学してみよう。三面五線、島式ホーム二面四線と単式ホーム一面一線が、北東・南西方向に配置されている。鉄骨Y字柱にストレート葺き旅客上屋の簡易な近代的ホーム、改札口や駅事務室は橋上化している。丁度、ホームの上方は、自由通路の工事をしている。


(3・4番線湯田中方ホーム端から、ホーム全景。)

(1・2番線長野方ホーム端から、ホーム全景。)

なお、この駅は駅長室側が1番線ではない、逆番線振り分けの駅(※2)になっている。1・2、3・4、5番線の組み合わせとなり、上り長電長野行きは列車によって、発着番線が違う。本線の約半分の列車は、長電長野駅と須坂駅間の区間運転列車になり、2番線が折り返しに使われている。なお、5番線は、古くて狭いコンクリートの単式ホームが残っているが、通常は使われていないらしい。

〈西・電留線側/1・2番線長野方ホーム端から、ホーム全景写真左手〉
1番線・本線下り;小布施・信州中野・湯田中方面
2番線・本線上り;長電長野方面(長野方への折り返しに使用)
3番線・本線上り;長電長野方面
4番線・屋代線下り;松代・屋代方面
(中線あり/2000系留置中。)
5番線・臨時ホーム
〈東・駅舎側/同右手〉

本線の駅時刻表を見ると、上り長野方面は、長電長野駅から須坂駅間の区間運転が多く、朝夕のラッシュ時は、1時間に普通電車が3-4本、それ以外は2-3本になっている。特急電車も、朝7時台から夜21時台まで、おおよそ、毎時1本運行されている(時刻表の赤字と緑字が、特急電車)。


(上り長電長野方面の本線駅時刻表。)

下り信州中野・湯田中方面は、上り電車よりも本数が少なくない。朝夕のラッシュ時は、1時間に普通電車が2〜3本、それ以外は1〜2本。特急電車は、朝7時台から夜22時台まで、1時間に約1本である。また、信州中野駅から終点の湯田中駅までは、30パーミル以上の急勾配が続く為、抑速ブレーキ装備の電車のみ運行できる。その為、殆どの下り普通電車は、途中駅の信州中野駅止まりになっており、この先は乗り継ぎになる。1日数本の普通電車と全ての特急電車のみ、その急勾配区間に乗り入れている。


(下り湯田中方面の本線駅時刻表。)

ホーム南側の長野・屋代方を眺めてみよう。須坂駅には車両基地が隣接しており、大きな車庫や沢山の電留線が並んでいる。黄色い建物寄りの左向こうが屋代線、車庫寄りの中央向こうが本線・長電長野方面になる。


(長野方を望む。)

ホーム北側の小布施(おぶせ)・信州中野・湯田中方は、長い電留線の一番北側に車両検修区があり、大きな検修庫が建っている。なお、本線といえども、屋代線と同じ単線電化路線である。


(湯田中方を望む。)

丁度、須坂駅9時59分発の長野行き特急「ゆけむり」(A特急)が、上り3番線に入線して来た。この長野電鉄1000系特急電車(二代目)は、南関東の小田急電鉄10000系の譲渡車であり、お馴染みのロマンスカーである。4両編成に短編成化されているが、ほぼそのままの小田急カラーで、使われている。

全区間大人100円・小児50円の特急料金は格安で、長電フリー乗車券と併用可能。個室を除き全席自由席になっており、気軽に利用できるのが嬉しい。長電長野駅から湯田中駅まで、所要時間約45分で結んでいる。なお、近鉄特急の甲特急・乙特急の様にA特急とB特急の区分があり、Aは停車駅を極力少なくした快速特急、Bは停車駅がやや多い普通特急である。特急料金は、どちらも同じになっている。


(特急ゆけむり。)

特急には、数人の乗客が乗り込んでいる。5分後に発車の為、乗務員は慌ただしい。隣の車両は、折り返しの長野行き普通電車が停まる。この長野電鉄8500系も、南関東の東急電鉄8500系の譲渡車で、3両編成の本線用普通電車として運用されている。


(本線専用普通電車の8500系と並ぶ。)

特急の発車を見送った後、3・4番線の長野方ホーム端に行ってみよう。オブジェコーナー「鐵道古展」がある。長野電鉄で使われていた、転轍機標識(てんてつき-)や操作てこ等がずらりと並んでおり、遠目から見ると、まるで宇宙人の様に見える。


(3・4番線の長野方ホーム端へ向かう。)

頂上に付いたランプは、スプリングポイントと普通転轍機の夜間認識用ランプ、その下の青黄の板も、運転士や構内係にポイントの切り替え方向を現示するもので、転轍機の操作てこも横にある。右端のバツ印は、車止め(レール終端標識)とダルマ式転轍機(手動式ポイント操作レバー)、経度・緯度と海抜を表示した古い駅案内板、車種不明の車輪が展示されていた。


(オブジェコーナー「鐵道古展」。※向かいの1・2番線ホームから撮影。)

(つづく)


グーグルマップの屋代線の線路部分は、廃線の為に削除されています。駅の所在地は正しいです。

(※1 木島駅)
平成14年(2002年)3月、信州中野駅から木島駅を結んでいた木島線の廃線により、廃止。なお、信州中野駅から湯田中駅までは、昭和2年(1927年)2月の開通である。
(※2 ホームの番線の振り方)
駅のホームの乗り場番号は、原則として、駅長室がある側から1番線となるが、改装工事等で変更され、当てはまらない場合もある。

2019年8月24日 ブログから転載・文章修正・校正。

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