樽見線紀行(13)本巣機関区 後編

跨線橋から給水塔の横を通り、機関区の横に歩いて行く。手書きの注意標識が、良い雰囲気を出している。

「双動」と、赤字で注意書きがあり、この手前に本線と接続する転轍機がある事から、本線の転轍機を操作すると、この側線の転轍機も同期して動くとの意味である。なお、この側線の転轍機は、ダルマ式になっている。


(機関区前の双動転轍機。)

一番西側の小さな車庫を見ると、何処かで見たような塗装の車両があり、長良川鉄道のマスコットであるナガラ01形(10)が留置されていて、とても驚く。

踏切事故による修理の為、ハイモ295-315が運用を離脱し、桜ダイヤ運行に支障が出る事から、約半年間、借り受けているとの事。両鉄道は、同じ県内の第三セクター鉄道であり、岐阜県が出資しているので、その繋がりだろう。

今年の桜ダイヤでは、同じレールバスのハイモ230-313、鉄道用車体の青いハイモ295-516や白いハイモ295-617と併結運転されたそうで、他社同士の気動車が併結して走るのも、大変珍しく、鉄道ファン的にも面白い。長良川鉄道開業時に導入されたレールバスで、貫通扉無し一枚窓、中央運転台が特徴である。
鉄道ファンrailf.jp・鉄道ニュース樽見鉄道(2010年4月5日)


(長良川鉄道ナガラ01-10。)

【ナガラ01形(10)の主な諸元】
昭和61年(1986年)富士重工業製レールバス、全長15.5m、空車自重23.5t、
日産PE6HT03ターボ付き水平対向ディーゼルエンジン 230馬力(1,900r.p.m.)、
ロングシート、定員98名、クーラーあり(壊れているらしい)。

樽見鉄道に最初に導入されたレールバスのハイモ180形は、車輪は2軸・車体全長12.5mだが、ナガラ01形はその改良型にあたり、ボギー台車(B-Bの計4軸)・車体全長15.5m、ターボ化した日産ディーゼル製PE6HT03が搭載され、ハイモ230形と同等性能の車両になる。

なお、平成22年(2010年)3月から10月まで貸し出され、移動時は、台車を外し、トレーラーで陸送された。また、老朽化と交換部品が入手困難の為、近年中に廃車の噂もある(※1)。

大きな建物の横を通ると、駅舎並びに、本社と本巣機関区正門がある。なお、機関区内は立ち入り禁止の為、見学は出来無い。正門外から車庫を覗くと、修理中のハイモ295-315が留置されている(※2)。樽見鉄道の車両の中では、鉄道ファンに人気がある車両である。


(樽見鉄道本社。)

(本巣機関区正門。)

ここで、樽見鉄道の現役気動車の解説をしたい。導入時期により、各車両の仕様が、大分異なるのが特徴である。また、池田満寿夫デザインのカラーリングや広告ラッピング車両が多く、カラフルでファンシーな塗装は、樽見鉄道の鉄道ファンへの最大の魅力となっている。


(本巣機関区に留置されているカラフル気動車。遠目で見ても、目立つ。)

◆樽見鉄道樽見線現役気動車一覧(2011年4月現在)◆

・常用車5両、予備車1両の6両体制で運行し、富士重工業製レールバスが複数在籍。
・ハイモは、「ハイスピードモーターカー」の意味の形式名。
・ハイモの後の数字は、搭載されたディーゼルエンジンの最高馬力を表す。
・台車は、従台車と動力台車組み合わせで、動力台車は一軸駆動である。
・第三セクター転換時導入の二軸車レールバスのハイモ180形は、全て廃車している。
・ハイモ330-701以外のブレーキシステムは、一般的な空気ブレーキを採用している。
・全車、車内にトイレ設備は無い。

【ハイモ230-312】
池田満寿夫デザインのカラーリングで、樽見鉄道のマスコット的車両。昭和62年(1987年)富士重工業製造の最古参のレールバスである。新型のハイモ330-701の導入により、平成23年(2011年)1月に廃車になっている。

【ハイモ230-313】
富士重工業製のレールバス。本巣市の広報ラッピング車両。ハイモ330-701の導入により、予備車となる。

【ハイモ230-314】
富士重工業製のレールバス。ショッピングセンターモレラ岐阜の広告ラッピング車両。後の平成28年(2016年)1月に廃車。

【ハイモ295-315】
池田満寿夫デザインによるカラーリング車両。富士重工業製の鉄道用車体採用の16m級LE-DC初期型軽快気動車。

形式 ハイモ230-310番台(312・313・314) ハイモ295-315
発注会社 樽見鉄道 樽見鉄道
製造会社 富士重工業 富士重工業
製造年 312・昭和62年(1987年)
313・昭和63年(1988年)
314・平成4年(1992年)
平成11年(1999年)
車体構造 レールバス 鉄道用車体
全長 15.5m 16.5m
全幅 3.0m 3.0m
高さ 3.6m 4.0m
自重(空車時) 24.7t 26.8t
エンジン/最高出力 日産PE6HT
ターボ付ディーゼルエンジン
230馬力/1,900rpm
日産PF6HT
ターボ付
ディーゼルエンジン
295馬力/2,100rpm
塗色 312・池田満寿夫デザイン、車体広告無し。
313・黄色と青色のツートン、車体広告有り。
314・ピンク色、車体広告有り。
白色&イラスト
妻面は緑色
座席 ロングシート ロングシート
定員(立席含む) 116名 116名
冷房装置 あり あり
特記 312・最も古い在籍車両。
313・本巣市のPR広告車で、
「淡墨桜+蛍+織部」と「真桑文楽+富有柿」
の車体側面イラスト有。
314・予備車扱い、岐阜モレラ広告車の
「モレラ号」。
池田萬寿夫氏の
特別デザイン。
長良川鉄道の
ナガラ300形と
同じタイプ。
車椅子対応可。

(※)日産ディーゼル製PE6HT03PF6HT03は、共にターボ付きの水平対向6気筒ディーゼルエンジンで、PE11,670㏄、PF12,503㏄の排気量になる。

【ハイモ295-516】
新潟トランシス製の軽快気動車。樽見鉄道開業時のオリジナルカラーを塗装。

【ハイモ295-617】
富士重工業製の18m級LE-DC後期型軽快気動車。三木鉄道時代のままの塗装で、唯一のクロスシート車。

【ハイモ330−701】
新潟トランシス製の新型軽快気動車。樽見鉄道開業時のオリジナルカラーを塗装。
平成27年(2015年)に、同形式702号車を導入済し、二代目モレラ号になる。
(※訪問時は、導入前の為に画像は無し。)
鉄道ファン・樽見鉄道ハイモ330-701試運転(2010-12-28)

形式 ハイモ295-516 ハイモ295-617 ハイモ330-700番台
(701・702)
発注会社 樽見鉄道 三木鉄道 樽見鉄道
製造会社 新潟トランシス 富士重工業 新潟トランシス
製造年 平成17年(2005年) 平成14年(2002年) 701・平成22年
(2010年)
702・平成27年
(2015年)
車体構造 鉄道用車体 鉄道用車体 鉄道用車体
全長 18.5m 18.5m 18.5m
全幅 3.0m 3.1m 3.1m
高さ 4.0m 4.0m 4.0m
自重(空車時) 29.0t 29.7t 31.2t
エンジン/最高出力 日産PF6HT03
ターボ付き
ディーゼルエンジン
295馬力/2,100rpm
日産PF6HT03
ターボ付き
ディーゼルエンジン
295馬力/2,100rpm
新潟原動機(※)
330馬力/2,000rpm
車体塗色 青地に赤白帯
(樽見鉄道標準色)
クリーム地に赤青帯
(三木鉄道標準色)
青地に赤白帯
(樽見鉄道標準色)
座席 ロングシート セミクロスシート ロングシート
定員(立席含む) 120名 116名 119名
冷房装置 あり あり あり
特記 行先表示&側面表示
は発光LED式。
車椅子対応可。
ボルスタレス台車。
イベントにも、
主に使用。
三木鉄道からの
移籍車。
元・ミキ300-105。
平成20年12月入線
唯一の
セミクロスシート車。
車椅子対応可・
行先表示&側面表示
は発光LED式
側窓は固定。
電気指令式ブレーキ。
※従来車とは、
互換性無し。
車椅子対応可。

(※ハイモ330-701のエンジンについて)
エンジンは新潟原動機製の330馬力と、マスコミや記念切符で発表している。新潟原動機のHPで紹介されている鉄道用ディーゼルエンジンで、330馬力のエンジンは、DMF13HZ、12,700㏄横型直列6気筒、インタークーラー付ターボディーゼルエンジン(330馬力/2,000rpm)が該当するが、このエンジン形式が搭載されているかは未確認。

ほか、神岡鉄道から譲渡された除雪モーターカーのDB1や保線用モーターカーがある。以前、客車列車や貨物列車を牽引していたディーゼル機関車国鉄DE10形5両や、本巣駅構内の貨車入れ替え用の小型ディーゼル機関車2両が在籍していたが、貨物全廃の為、廃車、若しくは、他の鉄道に譲渡されている。

(つづく)


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(※1)長良川鉄道に返却後、廃車された模様。
(※2)現在は修理を終えて、運用に復帰している。

2017年7月29日 FC2ブログから保存・文章修正・校正
2017年7月29日 音声自動読み上げ校正

双動について、しなの7号様からご教授頂いた。厚く御礼申し上げる。

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