樽見線紀行(10)谷汲山華厳寺 前編

樽見線沿線一の観光地・古刹である谷汲山華厳寺(たにぐみさんけごんじ)に行ってみよう。駅舎横にある観光案内板を見ると、駅から西に約3km離れた山中にあるらしい。


(駅前の観光案内板。)

駅前に停車している谷汲山行き近鉄バスに乗車し、11時22分に発車する。乗客は自分ひとりのみで、運転士に「どこまで乗って行くの」と聞かれたので、「華厳寺の入り口まで、お願いします」と伝える。バスは駅から西の方角に走り、人家が疎らな山里を走って行く。山門前の十字路を右に曲がって、狭い川谷の緩やかな坂を少し登ると、300m先にあるバスターミナルに到着。運転士にお礼を言い、下車となる。所要時間は約10分、運賃は片道大人100円である。有名寺院行きの路線バスであるのに、乗客が殆どいないのは、今は、自動車で来て参拝するからであろう。


(国土地理院国土電子Web・谷汲山華厳寺周辺。)


(バス停付近から北に参道が続く。)

ターミナル横には、大きな観光案内看板がある。この谷汲山華厳寺は、西国霊場三十三所巡拝の三十三番目の最後の寺である。古から、東山道(中山道)の赤坂宿や美江寺宿から、参拝道である谷汲街道が通っており、1,200年前の平安時代より、多くの人々が訪れる信仰の地になっている。しかし、西国三十三所霊場のうち、谷汲山華厳寺のみが、近畿エリアの外にある。また、東海白寿三十三観音霊場三十三番札所、東海三十六不動尊霊場三十三番札所にもなっており、こちらも最終番札所になっている。

また、華厳寺の西方には、「美濃の正倉院」と呼ばれる両界山横蔵寺があり、紅葉の名所、多数の寺宝、三重塔と即身仏(ミイラ仏)があり、華厳寺と並ぶ古刹になっている。
岐阜県揖斐川町公式HP・両界山横蔵寺


(谷汲観光案内板。)

(西国三十三所巡礼地案内板。)

バスターミナル横には、大きなログハウス風の待合室、揖斐川町観光プラザ、揖斐川町観光資料館や大駐車場があるが、今日は連休明けで、大駐車場はほぼ空の状態である。観光プラザ(案内所)に立ち寄り、見所の話を聞いて、散策マップや観光パンフレットを貰おう。

早速、参拝に行ってみよう。若葉の眩しい緩やかな登り坂の参道を歩く。この参道には、桜と紅葉が続くので、シーズンは大変な賑わいになる。華厳寺の周辺には、約1,500本のソメイヨシノが植えられていて、岐阜県内でも有数の花見名所になっている。


(谷汲参道を歩く。)

古い土産店、飲食店や仏具店が立ち並び、門前町の雰囲気が十分に伝わってくる。幾つかの店の軒先には、大きな鯉のぼりが掲げられ、連休明けの為か、休みの店が多い。


(鯉幟を掲げた京風の商店。)

緩やかな上り坂を500m程歩くと、仁王門に到着する。年期の入った立派な山門が構えている。


(華厳寺仁王門。)

(仁王門からの境内。)

仁王門には、巡礼の満願の地にやって来た巡礼者を労う、背丈より大きな大わらじが左右にあって、その大きさに驚く。また、千羽鶴や千社札も沢山奉納されている。現在、千社札の貼り付けは、禁止になっている。


(名物の大わらじと千羽鶴。)

山門の左右にある力強い仁王像の間を通ると、左手に境内案内図がある。仁王門から本堂までの距離は短いが、多数の僧坊や建物を擁する大きな寺院になっている。本堂の観音堂の他に、17つも御堂があると言う。


(境内案内図。)

百八燈が立ち並ぶ内参道を歩き、本堂下の石段に向かう。両側には、「南無十一面観音菩薩」と書かれた奉納幟が立ち並び、巡礼寺の独特の雰囲気を盛り上げている。


(百八燈と幟が並ぶ内参道。)

(少しずつ上っていく。横には、御堂が並んでいる。)

最後の長い石段を登り切った最上段に、本堂の観音堂がある。最後のひと頑張りの石段を登ろう。


(本堂前の大石段。)

(つづく)


2017年7月29日 FC2ブログから保存・文章修正・校正
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