横浜みなとみらいの高層ビル群
おもむろに都内にでかけたが、人出の多さに辟易し、もう少しゆったりしているところへと、横浜桜木町に足が向いた。20年ぶり位の訪問になる。東急東横線がみなとみらい線として地下鉄化し、東急桜木町駅が廃止になったせいか、若干、往年の華やかさが減衰しているように感じるが、一応、神奈川県下一のアーバンタウンである。若い頃は何度もこの景観を観に通ったので、とても懐かしい。
みなとみらいのシンボルである日本丸
横浜は意外に広い。3時間程度の滞在予定と限られているので、中心地である「みなとみらい」周辺をさらっと。普段は生真面目な取材スタイルなので、どうもぎこちないのはご容赦願いたい。たまには、取材ではない散歩スナップもよかろう。気持ちのよい青空が広がるが、風は冷たく、コート下にセーターを着込んだ方がよかった。
横浜の被写体といえば、船と建物と思う。そればかりになるが、人を撮影するするよりも人工物のほうが、自分には向いているようで、好きなお題である。新しい建物と古い建物が混在する景観は全国各地に見られるが、洋風の巨大石造建築が多く、迫力がある。しかし、道路は狭いため、撮影に難儀するが。
駅前複合商業施設のHULICみなとみらい
旧・第一銀行横浜支店(昭和4[1929]年竣工)
旧・富士銀行横浜支店(元・安田銀行横浜支店/昭和4[1929]年竣工)
さて、今日は、ライカX2を持ち出してきている。9年前に発売されたコンパクトデジタルカメラであるが、モノクロームは特段によく、カラーもかなり渋めでいい。もちろん、ライカ本社設計のメイド・イン・ジャーマニー。エルマリートF2.8/24ミリ単焦点レンズが固定最適化され、立体感のある画を叩き出す。なお、APS-CサイズのCMOSセンサーになるため、換算36ミリ相当の画角になり、スナップに使いやすい。柔らかなラインの中に緻密な描写は、国産カメラメーカーの画作りと一線を画し、「たかが、コンデジ」と侮れない。
□
混沌とした駅前を抜け、港に面した赤レンガ倉庫に向かう。多くの人々が散策しているが、これだけ広いので気にならない。岸壁にたどり着くと、冷たい海風が吹きつける中、海上保安庁の大型巡視船と日本最大のクルーズ船「飛鳥II号」が停泊していた。しばし、美しい白亜の巨船を眺めながら、「こんな船で、のんびりと船旅をしたいものだ」と思ったが、時間が莫大にありすぎて、退屈しそうだ。そういえば、15年前に新潟・小樽間航路に乗船して以来、大型船に乗ったことはない。
横浜赤レンガ倉庫2号館(明治44[1911]年竣工)
飛鳥II号と横浜ベイブリッジ
14時を過ぎて、雲が広がってきた。遅い昼食をとろうと中華街を覗いてみると、もの凄い人出である。リスクが高いので、今回はパスし、駅に戻るとする。「キング」や「ジャック」を撮影し、神奈川芸術劇場前の金ピカオフィスビルも一歩間違えば下品であるが、重厚な古典的銀行建築から異国的中華街、前衛的な近代建築まで、ごった煮の街並みであるのがこの街の魅力だ。
横浜中華街北京小路
通称「キング」神奈川県本庁舎(昭和3[1928年]竣工)
通称「ジャック」横浜開港記念館(大正6[1917]年竣工)
大和地所ビル(平成元[1989年]竣工)
締めのショットは、馬車道通りにあった蔦と鍋で。閉店しているらしく、コロナ禍も早く収まってほしいと願うばかりである。他にも魅力的な建築物が多数あり、2、3時間程度では到底無理なため、また再訪したい。
イタリアンレストランの鍋オブジェ
(おわり/横浜スナップ編)
□
【取材日】2021年2月23日
【カメラ】Leica X2
©2021 hmd
文章や画像の転載・複製・引用・リンク・二次利用(リライトを含む)や商業利用等は固くお断り致します。