大鐵本線紀行(22)SL急行列車到着

実は、千頭駅に午前中に来たのは、到着するSL急行列車を見学する為である。新金谷駅よりも、人は少なく、落ち着いて見学や撮影が出来るのが良い。しかし、晴れの日は完全逆光になり、コンパクトデジタルカメラの撮影では、やや難しい感じである。

今日は、ハイシーズンの三往復のSL急行列車が運転され、一番列車の「南アルプス号」は、団体ツアー専用の家山駅止まりになってる。12時30分着の臨時SL急行列車と、通年運行の13時13分着の「SLかわね路号」が、到着する予定になっている。

暫くすると、遠くから汽笛が聞こえ、1本目の臨時SL急行が絶気状態で滑り込んで来た。金属のガシャリと言う大きな音と、ブブーと言う鈍いブレーキ音がホームに響く。牽引機は、国鉄仕様に戻されたC54-44号機、客車は5両編成である。やはり、昨年のタイ国鉄仕様よりも、国鉄仕様の方が旧型客車に良く似合うと感じる。


(12時30分着のC54-44号機牽引の臨時SL急行列車が到着する。)

(ゆっくりとした速度のまま、停車位置まで進む。)

臨時SL急行から下車した乗客は、定員の四割位になっており、大変少ない。やはり、東日本大震災の影響と沿線の桜の開花が遅れている為らしい。15分もすると、一般観光客の撮影タイムは終了し、ゆっくりと撮影出来る。


(E10形101とC54-44号機が並ぶ。)

(C54-44のボイラとロッド周り。小型蒸気機関車であるが、精密感がある。)

暫く、その場で停車し、給水と石炭寄せを行う。隣の2番線に、後補機のE10形101が横付けされ、機関車の付け替え(機回し)作業が始まる。蒸気機関車は一度、編成ごとバックをし、客車を切り離す。再度前進し、渡り線ポイントを切り替えた後に後進しながら、2番線に転線する。その後に、補機のE101が3番線に転線し、客車と連結を行う。


(機回し風景。)

前後共に機関車の入れ替えが終わると、次のSL列車が3番線に到着する為、本線ポイントを使い、一番川側にある1番線に転線させる。転車台を使わない機回し作業も面白い(※)。

1番線に転線後、追加の給水を行う。乗務員も仕事が一段落し、昼食に出かける様である。ゴーと燃える熱いボイラ、スチーム音と時々聞こえる動作音が、生きている蒸気機関車を感じさせる。休憩前に予め多めに投炭しているらしく、意外に黒煙が多く出ている。


(1番線に転線したC54-44号機。)

(上り金谷行は、バック運転になる。)

なお、折り返しの上り1002レ・臨時SL急行列車は以下の編成になっており、全てぶどう色(茶色)の旧型客車になっている。編成の両端には、車掌室のあるオハフを連結した正統な編成である。

金谷←

C56-44(逆進)/オハフ33-469/オハ35-559/オハ47-380/オハ47-512/スハフ42-186/E102

→千頭


(端正な旧型客車編成。色も統一されている。)

今度は、13時13分着の「SLかわね路号」が到着する。最古兵のC10-8号機に牽引された「特急さくら号」のヘッドマーク付きの7両編成になっている。後補機は、ボックス形ヘッドライトが特徴のED500形(いぶき501)が務めている。


(13時13分着の「SLかわね路号」が到着。)

(補機の大井川鐵道ED500形「いぶき501」。)

駅のホームに、旧型客車が2編成が佇む光景も、今では贅沢な光景である。千頭駅までの運転が三往復ある日は、一時、三編成が並び、更に贅沢になる。


(ホームに佇む旧型客車編成。)

C10-8号機も、同様に給水作業と機関車の機回しを行う。その後は、このまま3番線から発車する。なお、機回し後の上り102レ・SLかわね路号の編成は、以下の通りである。

金谷←

C10-8(逆進)/オハ35−435*/オハ35-22*/オハ35-459*/スハフ42-184/オハ47-81/スハフ42-286/オハ35-857/いぶき501

→千頭

(*印はぶどう色、無しは青色)


(ED500形いぶき501とC10-8号機。)

(金色に輝く銘板。昭和5年製の川崎車両製造になる。)

(キャブ。空中の大きなレバーは、自動車のアクセルに相当する加減弁。)

後部のコールバンカー(石炭庫)に並んだ無骨なリベットが、力強くて格好良い。このC10-8号機の特徴でもある。


(C10-8号機のコールバンカー。)

また、千頭駅の一角には、大井川鐵道公認のSL資料館が併設されている。入館料は100円、入り口に料金箱が置いてあり、それに入れる。なお、出札口に申し出れば、記念入館券も入手できる。

記念入館券を出札口で購入し、見学してみよう。館内には、大井川鐵道の歴史、SLの動態整備の記録や引退機の資料、鉄道模型ジオラマ、往年のヘッドマーク、鉄道部品等が豊富に展示してある。また、映画ロケやテレビドラマ収録時に、大井川鐵道に訪問した俳優や著名人の写真やサイン色紙も沢山展示されている。新金谷駅前のプラザロコは、SLに乗りに来た一般観光客向けの展示であるが、このSL資料館は、鉄道ファンにも見応えのある本格的な展示になっている(有料施設の為、画像は無し)。


(SL資料館。二階には、レストランがある。)

(記念入館券。千頭駅出札口に申し出ると、発券して貰える。)

資料館前に大きな立看板があり、マイカー客向けのSL列車体験乗車券が発売されている。千頭駅から川根温泉笹間渡駅間の往復運賃と片道の上りSL急行券込み大人2,000円、子供1,000円と、金谷駅から千頭駅間の全区間往復乗車の約半額になっている。自家用車は、音戯の郷駐車場に無料で停める事ができ、大井川鐡道の見所の千頭駅から地名駅間もしっかり見られる。新金谷駅まで行かず、川根温泉でひと風呂浴びてから、千頭駅に戻るのも良いかもしれない(※2)。

時計を見ると、千頭駅に到着してから、3時間が過ぎている。周辺の観光も出来るかと思ったが、鉄道の見所が多く、無理そうである。上りSL急行列車の発車まで見学したいが、13時50分発の上り金谷行きの電車に乗車し、起点の金谷駅に戻りながら、駅を訪問しよう。

(つづく)


(※1)新金谷駅に転車台が新設された為、千頭駅からの上り列車の逆進は解消している。
(※2)公式ホームページの案内はなく、現在も実施しているかは不明。

2017年8月6日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月6日 文章修正・音声自動読み上げ校正

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