大鐵本線紀行(18)家山駅 前編

 

 

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神尾832===福用===大和田===846家山
下り 普通 千頭行き 大井川鐵道21000系 2両編成
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神尾駅を8時32分に発車。直ぐに、地蔵峠トンネルに入って行く。本線を北上し、家山駅に行ってみよう。

元・南海電気鉄道21000系2両編成の車内は、空いており、乗客は2-3人のみである。エンジ色のレトロなシートと、無骨でありながら、優雅なアールを描いた肘掛けが、昭和中期の古い電車を感じさせる。なお、ズームカーと呼ばれたこの車両は、急勾配路線の南海電鉄高野線の車両である。ズームとは、レンズでは無く、モノコック車体(※)である事が由来になっている。


(元・南海電気鉄道21000系の車内。)

地蔵峠トンネル内を大きく左に曲がり、出口を出ると、大井川が再び見え、福用駅に停車。この福用地区は、大昔、大陸から高度な技術を伝えた渡来人が帰化し、住みついた言い伝えのある集落になっている。現在、100人程が住んでおり、駅の周辺や山の斜面では茶栽培が盛んである。

開業当時の木造駅舎ではないが、提携姉妹鉄道のスイス・ブリエンツ・ロートホルン鉄道のブリエンツ駅を模した三角屋根駅になっており、駅前の簡易郵便局では、硬券切符の委託発券も行っている。

福用駅を発車する。その先の有名なS字カーブをゆっくりと過ぎ、大井川支流の白光川(はっこう-)が流れる小さな谷に入り、16.7‰(パーミル)の長い上り勾配を登る。サミットの高熊トンネルを抜け、その先の桜の名所である大和田駅を過ぎ、茶畑の中の勾配を登って行くと、線路の左右に見事な桜並木が見えてくる。

そして、家山川の鉄橋を渡ると、沿線の中核駅である家山駅に到着。神尾駅からの所要時間は、約13分である。


(家山駅下り1番線に到着する。)

この家山駅は、昭和4年(1929年)12月開業の社員配置の有人駅になっており、起点の金谷駅からは17.1km地点、8駅目、所要時間約30分、島田市川根町家山、1日乗車客数約300人、標高141mにある。広い構内に、島式ホーム一面二線、駅舎寄りに側線二本、金谷方に短い引き上げ線と平屋建ての木造駅舎のある駅になっている。また、映画「男はつらいよ」や「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ駅として、知られている。テレビの旅行番組等でも、よく紹介されている駅である。


(駅舎本屋横の白い円筒形のものは、蒸気機関車用の給水タンクである。)

改札で待っている初老の駅員氏に、フリーきっぷを見せる。乗降客の少ないローカル線の有人駅では、先に挨拶をし、撮影の許可を取ろう。列車の到着時は賑やかであるが、発車後の数分後には、静かなローカル線の駅に戻る。

構内踏切から、ホームの全景を見ると、とても長い島式ホームに、白い小さな旅客上屋が付いている。


(ホーム全景。)

(千頭方に、大きなスロープと構内踏切がある。)

SL列車の停車駅になっており、新金谷駅から家山駅間乗車の団体ツアー客が大勢乗降する為、旧ホームの南側に木造デッキの延長部がある。なお、家山駅止まりのSL列車は、上り2番線に入線し、新金谷方の補機の電気機関車に牽引され、新金谷に帰る。


(金谷方の増設木造デッキ部。)

昔ながらの木造旅客上屋は、クリーム色のペンキが丁寧に塗られている。梁の構造や羽切板を見ると、新金谷駅と同じ構造である。なお、本来の旧ホームに合わせてある為、長さは数メートルと短く、現在のホームの長さとアンバランスであるが、良いアクセントになっている。


(木造旅客上屋。)

(鉄道駅でよく見られるA形の梁構造になっている。)

少し錆びたブリキの手書き方面表示も、そのままであるのが嬉しい。ホーム上には、昔ながらのホーロー製の駅名標も、木製電柱に残っている。建て植え式の方は、大きなカラー写真付きの観光駅名標に新調されている。


(ブリキ板の行き先表示。)

(ホーロー製柱駅名標と観光駅名標。)

ホーム南端から金谷方を望むと、本線ポイントは右片開き、下り本線から側線が分岐し、側線の外側に接続した引き上げ線は、保線車両の留置線になっている。家山名物の桜並木は、この連日の寒さの為、蕾の状態のままである。


(金谷方と桜並木。)

千頭方は、先にある本線ポイントでレールがまとまると、直ぐに、上り勾配が始まる。駅舎と構内踏切は、千頭方に寄っている。また、駅舎前の側線横には、家山から折り返す蒸気機関車用の給水タンクがある。新金谷への引き返しの時刻まで、2番線ホーム上で整備を行っている。


(千頭方。)

幅の広い構内踏切と雰囲気満点の木造の改札口を通り、駅舎の中に入ってみよう。一枚板の手書き駅名標が掲げられ、改札横の一本木も良い感じである。


(構内踏切と改札口。)

(改札口。)

(つづく)


(※モノコック車体)旧来の鉄道車体は、台車(走行装置)・台枠・車体のスリーピース構造である。台枠と車体を一体化し、台車と車体のツーピース構造にした。自動車のモノコックボディと同じである。

2017年8月5日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月5日 文章修正・音声自動読み上げ校正

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