長鉄線紀行(8)ふるさとの鉄道館と気動車

郡上八幡駅の待合室の一角には、小さな鉄道資料館「ふるさとの鉄道館」がある。長良川鉄道と地元鉄道ファンが、協力して設置したそうで、貴重な資料がごろごろと展示してあり、鉄道博物館等のエンターテイメント的な展示と違って、生粋の鉄道ファンならば、垂涎ものになっている(※)。

出入口上には、昭和10年代の貨物運賃表と昭和20年代の旅客運賃表が掲げられている。黒板に白インクの手書きで、レプリカで無い当時の本物である。左右の発車時刻表示機は、手動で操作するタイプになっている。


(ふるさとの鉄道館。鉄道手小荷物窓口跡に設置されている。)

入り口横には、鉄道手小荷物の重さを量る台貫(はかり)、タブレット閉塞機(通称・お稲荷さん)、ホーロー製の懐かしい案内看板や柱駅名標がずらりと並ぶ。


(タブレット閉塞機やホーロー看板類。)

奥には、制帽や駅で使われた備品等が展示されている。また、国鉄当時の蒸気機関車等の写真も、壁上に沢山飾ってある。


(制帽や駅備品類。)

足元には、カットレールが転がっている。レールは1mあたりの重さ(kg)で等級区分があり、長良川鉄道では、軽量な30kgレールが全線の三割程度に残っている。

なお、メートルあたりの重さが重いレールほど規格が高く、高速で輸送密度の高い路線に向く。レールの断面の形はほぼ同じだが、高さ、底部や頭部の幅が違い、国鉄時代の幹線は40-50kgレール、ローカル線は30kgレールが多く使われていた。現在は、ローカル線でも、高規格の50kgレールが使われる様になっている。ちなみに、レールの長さは25mが基本となり、50kgレール1本は重さ1tを超える。


(カットレール、電話や灯火類。)

木製の乗車券箱と切符に発行日付を打つ印字機(ダッチングマシン)も展示してある。当時の硬券切符やゴム印も、一緒に箱の中に展示されている。


(乗車券箱。切符は金券と同じなので、保管や取扱は厳重であった。)

(ダッチングマシン。切符を横から溝に通すと、自動刻印される。)

国鉄時代の専門書も、沢山展示されている。全て内部資料なので、これだけ揃って保存されているのも、珍しいだろう。


(国鉄時代の専門書。規則集や技術書らしい。)

ここで、長良川鉄道の簡単な車両解説もしたい。全線非電化路線の為、全車両が気動車(ディーゼルカー)になっている。旧型のレールバスが1形式1両と、新型の軽快気動車が3形式11両が在籍しており、旧型のレールバスは予備車になっている。

長良川鉄道の気動車の仕様は、バリエーションが多いのが特徴である。奥美濃は雪が多いエリアの為、大型のスノープラウが車両の前後に付いている。ちなみに、国鉄越美南線の無煙化は、昭和44年(1969年)1月13日になっている。最後まで活躍した蒸気機関車は、美濃太田機関区所属のC11形タンク式蒸気機関車の153、211、220号機の三機で、元・御召機であるC11-220号機は、さよなら装飾がされたと言う。

◆ナガラ1形◆
富士重工業製のレールバス。バス車体を流用しているので、車高が通常の鉄道車両よりも低いのが特徴。第三セクター発足時の導入車両で、長良川鉄道のマスコット的な車両(※)である。側面全体には、長良川をモチーフにした大きなイラストが描かれている。


(ナガラ1形。一時貸出先の樽見鉄道本巣機関区にて撮影。)

◆ナガラ200形◆
国鉄形気動車の名残がある長良川鉄道オリジナルのワンメイク車両。主に、臨時快速列車やイベント列車に使われている。側面全体には、長良川をモチーフにした大きなイラストが描かれている。


(快速さわやかおくみの号のヘッドマークを掲げるナガラ200形。)

◆ナガラ300形◆
富士重工業製の新型軽快気動車。現在の主力気動車になっており、7両と最多在籍形式である。また、沿線の町の花が車体側面に描かれており、沿線の市町村合併の為、車両によっては、合併前の町の花が描かれている。ナガラ300形と500形のエンジンは、日産ディーゼル製PF6HT03を搭載しており、燃料直噴式・ターボ付き水平対抗6気筒エンジンで、排気量は12,503ccある。最大295馬力を発生させ、軽い車重と相まって、軽快に走る。

【ナガラ300形の側面花デザイン一覧】
301・302 水芭蕉(旧・明宝町)
303 紫陽花(美濃加茂市)
304 山つつじ(旧・大和町)
305 菊(関市)※「千代の里郡上」のイラスト付き
306 さつき(旧・八幡町)※広告ラッピング車
307 エゾリンドウ(旧・白鳥町)


(終点北濃駅に到着したナガラ300形。)

(ナガラ300形運転台。標準的な富士重工業製軽快気動車の仕様である。)

◆ナガラ500形◆
平成19年(2007年)から導入された新潟トランシス製の新型軽快気動車。基本的な仕様やデザインは300形に近い。富士重工業が鉄道車両製造から撤退した為、新潟トランシスが技術継承をした。


(標準の青帯仕様のナガラ500形501。方向幕ではなく、LED表示板になっている。)

(長良川鉄道オリジナルカラーのナガラ500形503。長良川鉄道発足時のリバイバル塗装になっている。)

(ナガラ500形503の運転台。300形とほぼ同じである。)

【長良川鉄道 現役気動車一覧】 (2011年4月現在)※転載は禁止。

形式 ナガラ1形 ナガラ200形 ナガラ300形 ナガラ500形
車番 10 201 301-307 501-503
両数 1両 1両 7両 3両
メーカー 富士重工業 富士重工業 富士重工業 新潟トランシス
導入年 昭和61年
(1986年)
平成6年
(1994年)
平成10年
(1998年)
から順次導入
平成19年
(2007年)
から順次導入
エンジン 日産ディーゼル
ターボ付き
PE6HT03
230馬力/
1,900r.p.m.
日産ディーゼル
ターボ付き
PE6HT03A
250馬力/
1,900r.p.m.
日産ディーゼル
ターボ付き
PF6HT03
295馬力/
2,100r.p.m.
日産ディーゼル
ターボ付き
PF6HT03
295馬力/
2,100r.p.m.
全長 15.5m 16.5m 16.5m 16.5m
自重
(空車時)
23.5t 約27t 26.8t ※ 28.5t
定員数
(立席含)
98名 103名 102名 ※ 107名
塗色 白地に赤青帯
側面イラスト
白地に赤青帯
側面イラスト
あずき色
側面花イラスト
501と502は
あずき色に
青白帯
503は
白地に赤青帯
シート ロングシート セミクロスシート セミクロスシート
但し、306のみ
ロングシート
ロングシート
冷房 あり あり あり あり
特記 低屋根
レールバス
発足時導入車
予備車扱い
休日等の
臨時快速に使用
1両のみ新製
現在の主力形式
広告車あり
車椅子対応可
LED方向幕
車椅子対応可

※セミクロスシート車。

(つづく)


(※)ふるさとの鉄道館は閉鎖され、テナントが入居しているらしい。
(※)平成26年(2014年)12月に引退し、廃車解体されている。

2017年8月7日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年11月1日 文章修正・音声自動読み上げ校正

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