長鉄線紀行(16)美濃市観光 後編

小坂酒造所のある通りから、もう一本川寄りの通りの旧一番町に行ってみよう。小坂家前の狭い連絡横丁を100m程歩くと、道幅の広い通りに出る。交差点から東側を見ると、旧家がずらりと並んでいる【星マーカー】。


(旧一番町の町並み。西から東を望む。)

(旧一番町の町並み。東から西を望む。)

なかなかの壮観である。うだつの道路側下端部には、鬼瓦や装飾が付いており、家々によって異なる。しかし、先程の小坂家は初期のうだつの為、鬼瓦が無い様式になっている。当時、うだつの出来を競いあっていたと言われ、元々は、火事の延焼防止の壁であり、裕福な家しか造れなかった。「うだつが上がる」、「うだつが上がらない」の由来になっている。


(うだつが並ぶ。)

通りの一番東側にある大石家【赤色マーカー】は、掛け軸や額等を作る京表装の店である。明治5年(1872年)の建築、うだつ建築としては最末期のもので、究極の装飾が施されている。なお、明治に入って暫くすると、隣家との権利上の関係で、うだつは建てられなくなった。

庇の上の小さな観音開きの箱は、屋根神様こと、火除の神様「秋葉神社」の祠である。木造の美しい街並みが続く町を、火災から守りたい町人の気持ちを感じる。しかし、この城下町も、江戸中期の享保13年(1728年)に大火があり、焼失してしまっている。その後、道路が広げられ、うだつが造られる様になった。


(大石家。大石華表堂の屋号になっている。)

大石家から少し戻ると、江戸時代末期、庄屋を務めていた美濃和紙の豪商・旧今井家【博物館マーカー】がある。現在は、美濃市の指定文化財と史料館になっている。江戸時代中期頃に建築され、板葺き石置き屋根であったが、明治の頃の増改築時に瓦葺きになった(屋内見学は有料)。残念であるが、夕方16時を過ぎているので、もう閉館している。
美濃市公式HP・観光案内「旧今井家美濃史料館」


(旧今井家・美濃史料館)

100坪近くある立派な大邸宅は、江戸時代の商家そのままの風情が残り、帳場、明かり取りや水琴窟もあり、映画等のロケに使われている。今井家のうだつ飾りは、やや低く、装飾も簡素であるが、初期のものである。


(旧今井家のうだつ。)

旧一番町通りの南西方向に更に歩くと、十六銀行美濃支店付近【カメラマーカー】も、良い雰囲気が残っている。


(旧一番町通り・十六銀行美濃支店付近の町並み。)

全ての旧家にうだつがあるのではなく、うだつの無い旧家もある。なお、うだつのある旧家は、全部で19棟あるとの事。


(うだつの無い旧家が並ぶ。)

十六銀行先の交差点角には、旧武藤家【丼マーカー】がある。元は鍛冶屋であり、上有知藩主の金森長近が、関からこの刀匠を呼び寄せたと言う。うだつのある立派な家構えで、大きなナマコ壁の蔵等があり、大きさに圧倒される。

現在は、手打ち蕎麦屋「幸来家(こうらいや)」になっている。立て看板の横にある鉄環が付いている丸い石は、馬を繋いだ「馬つなぎ石」である。


(旧・武藤家。現在は、蕎麦屋になっている。)

(奥行きがある豪邸になっている。)

また、隣には、美濃和紙を使ったランプや小物を扱う美濃あかり館彩(いろどり)【黄色マーカー】もあり、大勢の女性観光客が集まっている。店内はとても和洋折衷の幻想的な雰囲気である。
美濃あかり館彩公式HP

なお、1,300年の歴史がある美濃和紙は、長良川の清水と和紙植物原料の良質な楮(こうぞ)から作られる。奈良の正倉院に残る戸籍も、美濃和紙が使われていると言う。


(美濃あかり館彩。)

そろそろ駅に戻ろう。長良川の川灯台や川湊跡も見たかったが、日没間近になり、タイムリミットになる。じっくり観るならば、3-4時間位は必要だろう。
美濃市公式HP
美濃市観光協会公式HP

来た道を15分程歩き、美濃市駅に到着。駅時刻表を見ると、今度の上り美濃太田行きは、18時44分発である。今日、名古屋から新幹線で帰京しようと思ったが、気分も良いので、延泊する事にしよう。ホームのベンチに座り、NTTの番号案内で某ビジネスホテルチェーンを調べ、名古屋駅中区のルートインホテルを手配した。

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美濃市1844======1916美濃太田
上り12D 普通 美濃太田行き
ナガラ300形(306)単行
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上り美濃太田行きのロングシート車のナガラ300形(306)が、定刻通りに到着。美濃市駅を18時44分に発車し、一路、起点の美濃太田駅を目指す。途中の富加駅で列車交換をし、夜闇の中を一両だけのディーゼルカーが走り抜ける。

19時16分、美濃太田駅に無事に帰ってきた。下車する際に、運転士T氏と少し話をして、記念に1日フリーきっぷを貰おう。長良川鉄道の運転士は、フレンドリーで対応が良く感じる。


(無事美濃太田駅に到着。)

(今日使った1日フリーきっぷは、土日・祝日限定発売で、大人2,000円になる。※)

旧国鉄越美南線こと、この長良川鉄道とお別れになる。長良川の清流に寄り添った素晴らしい沿線風景、懐かしい国鉄時代の鉄道遺産、見応えのある郡上八幡や美濃市の町並みを見て、今日一日、大変楽しむ事が出来た。また、いつの日か再訪したい。

◆長良川鉄道乗車記録◆

【乗車列車数】5本(下り1本・上り4本)
【下車訪問駅】6駅(美濃太田、関(ホームのみ)、北濃、郡上八幡、大矢、美濃市)
【途中下車観光】2ヶ所(郡上八幡、美濃市)

美濃太田6:26 下り1D 北農行き ナガラ300形(305)単行
8:34
北濃8:54 上り8D 美濃太田行き ナガラ300形(305)単行
9:31
郡上八幡14:53 上り14D 美濃太田行き ナガラ500形(503・501)2両編成
15:14
大矢16:24 上り16D 美濃太田行き ナガラ300形(306・303)2両編成
16:47
美濃市18:44 上り124D 美濃太田行き ナガラ300形(306)単行
19:16
美濃太田

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美濃太田1926 JR高山本線 上り・岐阜行(キハ48-6000番台 2両編成)
2003
岐阜2006 JR東海道本線 上り・特別快速・豊橋行(313系5000番台 6両編成)
2026
名古屋 市営地下鉄東山線 ※時刻記録なし


徒歩、某ビジネスホテル(泊)
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名古屋に向かおう。JRの改札を通り、ホームに行くと、太多線と高山線の列車が、同じホームに止まっている。車掌氏に、「名古屋まで、岐阜経由か、多治見経由か、どちらが早いですか」と聞いた所、「岐阜経由の方が早いでしょう」との返事。右手の高山線上り列車に乗り込む。

キハ48の2両編成の列車は直ぐに発車し、真っ暗な中を疾走する。なお、ローカル本線であるが、高山本線は長良川鉄道よりも道床が良く、あまり左右に揺られない。


(上り高山本線岐阜行きのキハ48形6000番台。)

40分程で岐阜駅に到着し、直ぐに接続する上り特別快速豊橋行きに乗り換える。木曽川の長い鉄橋を渡り、20分程で名古屋駅に到着する。しかし、名古屋駅コンコースのみどりの窓口で調べ物をしたり、駅前の大型家電量販店で、SDメモリーカードを追加購入していた為、ホテル到着が22時前になってしまった。

夕食に名古屋名物の味噌カツを食べたいと思い、ホテルのフロントで紹介されて行ってみたが、営業時間終了となっていた。仕方ないので、大通りの大手和食チェーンに入る。煮込み味噌カツ定食とあさり味噌汁を注文。価格も手頃で、ご飯のおかわりは自由である。味は、安価な大衆向けチェーンなので、味は普通である。しっかり食べた後は、ホテルに戻り、チューハイを一本飲んで直ぐに就寝した。


(味噌カツ定食とアサリ味噌汁。)

(おわり/長良川鉄道編/美濃三鉄めぐりの旅)


【訪問日】2010年5月4日
【カメラ】PENTAX Optio S10

2017年11月12日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年11月12日 文章修正・音声自動読み上げ校正

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