神戸駅(ごうど-)に戻ってきた。今日は、沿線南側の桐生駅から神戸駅までの訪問とし、明日は、北側の神戸駅から終点の間藤駅(まとう-)まで訪問しよう。上り桐生行きの列車に戻り、主要途中駅である花輪駅に向かう。
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【乗車経路】◎→列車交換可能駅 ★→登録文化財駅
神戸◎★1021====小中====中野===1031花輪
上り桐生行き716D列車(わ89-311「たかつど号」単行)
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10時21分発の上り桐生行きに乗車する。わ89形311「たかつど号」単行には、1名のみ乗っており、この神戸駅から3人が乗車する。直ぐに、下り間藤行き715D列車・わ89形313「わたらせII号」が到着し、列車交換をする。
定刻に発車。国登録文化財のふたつの神土トンネル(ごうど-)を抜け、再び、渡良瀬川の清流を愛でる。座席には座らず、最後尾からの流れ行く車窓を、ゆっくり楽しむ事にしよう。連続した上り勾配に挑む下り間藤行き列車と違い、ディーゼルエンジンは殆ど吹かさず、抑速ブレーキをグイングインと利かせながら、長い下り勾配を軽快に下って行く。
単式ホームの小駅である小中駅と中野駅に停車し、所要時間10分で、花輪駅に到着する。1日フリーきっぷを運転士に見せ、下車しよう。豪快なエンジン音と紫煙を上げながら、列車は直ぐに発車して行く。
(花輪駅を発車する上り桐生行き・わ89形313「わたらせII号」。)
国鉄風の建て植え式駅名標があるが、字体がとても細い。傍らの大きな兎と亀が、来訪者を迎えてくれる。実は、有名童謡「うさぎとかめ」、「花咲爺」や「金太郎」の歌詞でよく知られている石原和三郎氏の故郷になっている。また、列車の接近到着時には、「うさぎと亀」の歌付きメロディが流れる。
(字体の細い建て植え式駅名標。)
(うさぎとかめの石像。)
この花輪駅は、広く開けた渡良瀬川の右岸に、上り南西・下り北東に配された単式ホームの終日無人駅になっている。国鉄足尾線前身の足尾鐡道開通時の大正元年(1912年)12月開業、起点の桐生駅から21.0km地点、8駅目、所要時間約40分、みどり市東町花輪(あずままちはなわ)、標高292mの終日無人駅になる。
江戸時代の花輪は、渡良瀬川上流にある足尾銅山の銅鉱石を江戸へ輸送する銅街道(あかがね-)の宿場町として栄えた。今でも、数多くの住宅が建ち並ぶ大きな地区になっている。
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気動車4両程度の80m級のホームを備える。国鉄時代は、島式ホーム一面二線の列車交換可能駅であったが、国鉄末期の合理化施策で廃止され、単式ホームになった。なお、登録文化財の指定はされていないが、開業当時のホームと思われる。
幅の広い島式ホームの片面を潰して使っており、若干、不自然な感じがする。ホーム中央部は、現在の気動車ステップの高さ920mmに嵩上げされており、広いスペースもホーム周辺にあり、側線が何本かあったかもしれない。
(向かいの道路の桐生方から、花輪駅全景。)
桐生方は、地元住民が使う赤道(あかみち※)や、交換用レール置き場がある。ホームに並行した道路の向こうは、土手になっており、階段上の高台に家庭菜園と住宅が幾つか建ち、山際に国道バイパスが通っている。
(桐生方。)
桐生方のホーム横には、ミニ親水公園が整備されている。おそらく、桐生方の貨物ホームや側線があったのであろう。
(桐生方のミニ親水公園。後ろの建物は、駅舎になる。)
反対側の間藤方のホーム末端部は、盛土と砂利のままであり、花壇が造られている。線路の先には、Y字ポイントの撤去跡と思われる不自然なカーブが残っており、現在のホームは、下り2番線であったらしい。
(間藤方。)
元・1番線側は、歩道になっており、ホームの擁壁が残っている。また、間藤方は駅前駐車場になっており、ここにも、桜が沢山並んでいる。
(元・1番線ホーム跡。)
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駅舎を見てみよう。腰窓風の採光窓付きの大きい民家風建物がひとつ、小さめの建物がふたつ並んでおり、手前から、花輪ふれあいセンター、駅待合室、公衆トイレになっている。
元々は、神戸駅と同じタイプの開業当時の木造駅舎があったが、新しく建て直された。しかし、改札は廃止され、通路のみになっている。また、花輪地区のコミュニティ施設「花輪ふれあいセンター」を併設し、4月から11月の第三日曜日・朝7時から9時までは、朝市も開催されている。
(花輪駅全景。)
(待合室内。)
駅出入口には、御影石の立派な駅名標やせせらぎがあり、かなり凝った造りになっている。ここに流れる水は、桐生方のミニ親水公園に流れて行く。
(黒御影の駅名標。)
(駅出入口のせせらぎ。)
駅舎の間藤方並びにも、水車のある池や復元された宿灯籠が整備されている。春の素晴らしい快晴の下、山水が水車を回しながら、清らかな水音を響かせ、とても良い気分になる。
(宿灯籠と水車池。)
(桐生方の池と水車。)
ロータリーが無い駅前は、小さな萬屋が一軒のみあり、旧街道に接続する細道が延びる。一本の大松が生い茂り、新旧が織り交ざったのんびりとした駅前風景になっている。
(花輪駅と名物の大松。大きな観光案内板も設置されている。)
(駅前から、旧街道への連絡道を望む。)
(つづく)
(※赤道/あかみち)
地元住民が便宜の上、線路を横断する場所。踏切には該当しない。
本来は違法であるが、生活の便宜上、鉄道会社が黙認している場合がある。
2017年8月10日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月11日 文章修正・音声自動読み上げ校正
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