近江信楽線紀行(7)信楽散策 その2

丸由窯横の急坂を登り切ると、大小の窯元が密集した場所に出る。山側を見ると、砂利道の急坂の先に、高い煉瓦煙突が見える。信楽の代表的な大窯元である、谷寛窯(たにかんがま)【青色マーカー】の「ギャラリー陶ほうざん」があるので、行ってみよう。この谷寛窯は、信楽駅前の通りにも、大きな直販店を構えている。


(谷寛窯。)

急坂を登りきると、右手に薪式の小さな窯が幾つかあり、通りから見えたレンガの大煙突が聳える、大きな二階建て建物がある。昔は、大小屋(おおごや)と呼ばれたそうで、明治時代の師範学校の講堂を移築し、今は、工房兼ギャラリーとして、使われているとの事。


(谷寛窯の大小屋。)

丁度、向かいの母屋から、感じの良い中年女性がやって来た。「自由に見ていって下さい。お茶もどうぞ」と声を掛けられ、折角なので、大小屋の中を見学させて貰う事にした。

中はとても広い。一階の中央には、人が立てる程の高さの洋式重油煉瓦窯があり、この窯を中心に、作業所として使われていたとの事。今は引退し、ギャラリーコーナーとなっており、その横の二基の電気窯を使ってる。窯の中は、白熱灯を照らした幻想的な暖かい雰囲気で、女性観光客に喜ばれそうである。


(洋式重油煉瓦窯跡。※撮影とブログ公開承諾済み。以下同。)

(洋式重油煉瓦窯内のギャラリー。)

吹き抜けになってる二階に上がると、煉瓦窯の蒲鉾形耐熱屋根も見える。周りは、オリジナル陶器が所狭しに展示され、直売所も兼ねている。奥に喫茶室があるそうで、お言葉に甘えて、お茶をご馳走になろう。


(煉瓦窯の天井部。)

この谷寛窯は、明治初期に信楽焼特有の青藍「海鼠釉(なまこゆう)」を完成させた、初代・谷井直方氏が始祖になっている。その後、四代目が分家をして、この窯を設立したとの事。この青藍「海鼠釉」の技術は、独占することはなく、信楽の窯仲間に公開され、信楽特産のナマコ釉火鉢(明山窯横に積んであった青い火鉢)の生産に貢献した。


(二階の展示直売所。)

(ゆっくりと見たり、選んだり出来る。)

数人の女性観光客も来店しており、和気あいあいと、賑やかである。喫茶室で美味しいお茶もご馳走になり、信楽の歴史や風土等も、少し聞く事が出来た。休憩も出来たので、お礼を言って、出発しよう。

【谷寛窯「ギャラリー陶ほうざん」】
毎週火曜日(祝日は営業)と年末年始は休業、10時から17時まで、駐車スペースあり。
滋賀県甲賀市信楽町長野788。
谷寛窯「ギャラリー陶ほうざん」公式HP

駅の方向に戻る。ひいろ壺坂【カメラマーカー】の路地に入ると、とても狭い坂が曲がりながら続く。ここは工場下の静かな旧家が連なる場所で、この信楽町内でも、最も昔ながらの場所らしい。横の狭い路地を入ると、立派な小寺があったりするのも良い。


(ひいろ壺坂。【カメラマーカー】)

(法林寺【万字マーカー】。浄土宗の小寺である。)

坂を下りきると、国道307号線の滋賀銀行の横に出る。左折をして、新宮神社【鳥居マーカー】に寄ってみよう。今日は、日曜市の「げなげな市」が開かれ、観光振興も兼ねた手作り市との事。「げな」とは、信楽弁で「らしい」と言う意味で、良い物、面白い物や美味しい物に掛けている。

小さなテント下には、小さめの陶器、手作りアクセサリー、観賞用草花や食べ物等が並び、結構な人出である。なお、冬期の1-2月を除く、毎月第一日曜日の10時から15時頃まで、開催している。


(新宮神社のげなげな市。)

参道を歩いて行くと、タヌキ形今川焼き風のポンタ焼(1個100円)が目に止まる。餡とクリームがあるので、ひとつずつ購入して、境内の一角で頬張る。このポンタ焼きは、地元福祉法人が考案したもので、1日1,000個以上も売れる人気商品になっている。


(タヌキ形の今川焼き風のポンタ焼。)

(小ぶりで、食べやすいサイズになっている。※撮影承諾済み。)

この神社は、本殿前に大きな神楽殿がある立派な造りになっている。奈良時代創基の1300年の歴史があり、スサノオの弟であるスサノオノミコトとその妻であるイナダヒメノミコトが御祭神である。窯元めぐりの最後に、この旅の安全祈願をして、信楽駅に戻る事にしよう。


(新宮神社社殿。)

窯元めぐりを十分に楽しみ、駅まで戻って来た。時刻は14時を過ぎた所である。待合ロビーの一角には、名物の陶器製記念乗車券が展示されており、とても丁寧な造りで、縁起物としても使える様になっている。1枚1,800円もするが、信楽から貴生川間の往復運賃二回分(二人分)も含んでいて、切符としても使える。入鋏時(にゅうきょう-)は、下の文字部分に赤スタンプを押すとの事。


(陶器製記念乗車券。旅の記念にも良い。)


ギャラリー陶ほうざん(谷寛窯)より、記事紹介の許可済み。

【参考資料】
現地観光案内板

2017年7月17日 FC2ブログから保存・文章修正(濁点抑制)・校正
2017年7月17日 音声自動読み上げ校正

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