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千頭1350==崎平==青部==1402駿河徳山
上り 普通 金谷行き
大井川鐵道16000系2両編成
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復路は、代表的な木造レトロ駅に途中下車しながら、戻る事にしよう。13時50分発の上り金谷行きの元・近畿日本鉄道16000系2両編成に乗り、14時過ぎに駿河徳山駅に到着。この駅で途中下車する。ホームの建て植え式駅名標は、ブリキ製の厚みがあるタイプになっている。
(ブリキ板の建て植え式駅名標。)
千頭行きの下り列車と列車交換をし、乗車した上り金谷行きが発車して行く。ホームの並びには、若木の桜並木がある。なお、右手道路は、千頭経由で東に向きを変え、静岡駅前に行く国道362号線である。
(金谷行き16000系が発車する。)
桜に囲まれた駿河徳山駅は、家山駅と同様に桜咲く駅として、有名になっている。昭和6年(1931年)4月の延伸時開業、起点の金谷駅から15駅目、34.1km地点、所要時間約1時間、所在地は榛原郡(はいばら-)川根本町徳山、標高246mの社員配置有人駅である。
(ホームから駅舎本屋と桜。)
この駿河徳山は、東西1.7km、南北1.3kmの広さの大井川が削った東岸の平坦地に開けた町である。住宅も多く、近くに高校もあり、乗降客数も多い。この周辺は、日本一の銘茶と言われる川根茶の産地になっており、また、桃沢(ももんざわ)沿いに、ソメイヨシノ800本が植えられ、桜の名所になっている。
(国土地理院国土電子Web・駿河徳山付近。)
かつては、駿河国大津庄徳山郷堀之内村と呼ばれていた。14世紀には、東側にある無双連山(むそれやま・標高1,083m)の山頂に徳山城があり、土岐氏(ときし)と称する豪族が治める城下町であった。しかし、南北朝時代の文和2年(1353年)、北朝の足利尊氏の命により、駿河今川家二代目当主・今川範氏(のりうじ)が攻め、落城してしまった。山頂に城址跡があり、「森の段」と呼ばれる小高い城下中央部に屋敷跡が残っている。なお、地元では、無双連山・徳山城を、本城山・本城と呼んでいる。
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南北に配された島式ホーム一面二線と構内踏切があり、嵩上げとアスファルト舗装がされ、近代化されている。木の手作りベンチと桜まつりの旗が、良い味を出している。
旅客上屋は木造ではなく、戦後に建て替えられたものらしい。旅客上屋の赤い柱は、古レールを使っており、英国CAMMELLS(キャンメル)社の明治31年(1898年)製である。大井川鐵道本線の開通年(昭和6年・1931年)よりも、古い輸入レールである。当時の輸入古レールは、建設現場や鉱山の坑道支柱として再利用する需用も大きく、建築用に購入されたものか、開業当時に使われていたレールの再利用であろう。
(島式ホームと古レール柱の旅客上屋。)
次の上り列車は、小一時間後である。駅を見学してみよう。先に、駅長氏に挨拶をし、許可を貰っておく。
千頭寄りのスロープを下り、構内踏切を渡ると、真っ直ぐに駅前広場に抜けている。建物は大分古いが、掃除が隅々まで行き届いており、状態はとても良い。なお、構内踏切は、昔懐かしい「チン、チン、チン、チン」と鳴る電鈴式である。本線には、地名駅(じな-)と五和駅(ごか-)にも、電鈴式が残っている。
(ホームからの駅舎。)
(改札口はとても狭い。)
改札口を通り、待合室に入ってみる。改札横の出っ張った出札口は昔のままになっており、勿論、硬券切符を発券している。訪問記念に、硬券入場券を購入しておこう。
(改札と出札口。)
待合室は、コンクリートの打ち放しになっており、ひんやりとした懐かしい雰囲気である。広さは20畳位あり、木枠窓に沿った木製ベンチや駅文庫が設置され、手入れがよく行き届いている。
(駅出入口と待合室。)
駅前に出てみよう。駅舎の屋根は瓦屋根、一部トタン屋根になっており、トイレは別棟の小屋になっている。右側の待合室部分が、母屋に合体した様な面白い構造である。駅前には、少し広い駅前広場と小さな商店街が続いている。
(駅前からの駅舎。)
(駅舎遠景。)
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ホームに戻ろう。列車の発着時以外は、とても静かな環境にあり、ゆったりとした午後の時間が流れている。木製ベンチに座り、次の列車が来るまでの間、のんびりと待とう。南端から金谷方面を望むと、左側に製材所があり、線路は真っ直ぐに伸びている。
また、ホーム北側の線路沿い、徒歩数分程度の所には「ときどんの池」がある。休耕田を整備した湿地公園に水車小屋があり、季節には、桜、菖蒲の花や蛍が鑑賞出来る。花とSL列車の撮影も、出来ると言う。
グーグルマップ・ときどんの池
(金谷方と製材所。)
ホームで見事な桜を眺めていると、構内踏切が急に鳴り出した。今度の上り列車の時刻は、14時54分発のはずである。何だろうと驚いていると、千頭駅で整備中であったE10形102号電気機関車が、大きなブロアを鳴らしてやって来た。
(E10形が単機でやって来る。)
どうやら、整備後の試運転らしく、通過と思いきや、この駅で折り返す様子である。油で汚れた作業服姿の整備員数人が、ぞろぞろとホームに降りて来る。本線ポイントを使い、下り千頭方面2番線に転線すると、出発信号が青に変わるまで停車。金谷行き列車がやって来るのを待っている。とても、うららな春の午後である。
(桜とE10形102号機。)
(つづく)
2017年8月2日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月3日 文章修正・音声自動読み上げ校正
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