跨線橋から給水塔の横を通り、機関区の横に歩いて行く。手書きの注意標識が、良い雰囲気を出している。
「双動」と、赤字で注意書きがあり、この手前に本線と接続する転轍機がある事から、本線の転轍機を操作すると、この側線の転轍機も同期して動くとの意味である。なお、この側線の転轍機は、ダルマ式になっている。
(機関区前の双動転轍機。)
一番西側の小さな車庫を見ると、何処かで見たような塗装の車両があり、長良川鉄道のマスコットであるナガラ01形(10)が留置されていて、とても驚く。
踏切事故による修理の為、ハイモ295-315が運用を離脱し、桜ダイヤ運行に支障が出る事から、約半年間、借り受けているとの事。両鉄道は、同じ県内の第三セクター鉄道であり、岐阜県が出資しているので、その繋がりだろう。
今年の桜ダイヤでは、同じレールバスのハイモ230-313、鉄道用車体の青いハイモ295-516や白いハイモ295-617と併結運転されたそうで、他社同士の気動車が併結して走るのも、大変珍しく、鉄道ファン的にも面白い。長良川鉄道開業時に導入されたレールバスで、貫通扉無し一枚窓、中央運転台が特徴である。
鉄道ファンrailf.jp・鉄道ニュース樽見鉄道(2010年4月5日)
(長良川鉄道ナガラ01-10。)
【ナガラ01形(10)の主な諸元】
昭和61年(1986年)富士重工業製レールバス、全長15.5m、空車自重23.5t、
日産PE6HT03ターボ付き水平対向ディーゼルエンジン 230馬力(1,900r.p.m.)、
ロングシート、定員98名、クーラーあり(壊れているらしい)。
樽見鉄道に最初に導入されたレールバスのハイモ180形は、車輪は2軸・車体全長12.5mだが、ナガラ01形はその改良型にあたり、ボギー台車(B-Bの計4軸)・車体全長15.5m、ターボ化した日産ディーゼル製PE6HT03が搭載され、ハイモ230形と同等性能の車両になる。
なお、平成22年(2010年)3月から10月まで貸し出され、移動時は、台車を外し、トレーラーで陸送された。また、老朽化と交換部品が入手困難の為、近年中に廃車の噂もある(※1)。
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大きな建物の横を通ると、駅舎並びに、本社と本巣機関区正門がある。なお、機関区内は立ち入り禁止の為、見学は出来無い。正門外から車庫を覗くと、修理中のハイモ295-315が留置されている(※2)。樽見鉄道の車両の中では、鉄道ファンに人気がある車両である。
(樽見鉄道本社。)
(本巣機関区正門。)
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ここで、樽見鉄道の現役気動車の解説をしたい。導入時期により、各車両の仕様が、大分異なるのが特徴である。また、池田満寿夫デザインのカラーリングや広告ラッピング車両が多く、カラフルでファンシーな塗装は、樽見鉄道の鉄道ファンへの最大の魅力となっている。
(本巣機関区に留置されているカラフル気動車。遠目で見ても、目立つ。)
◆樽見鉄道樽見線現役気動車一覧(2011年4月現在)◆
・常用車5両、予備車1両の6両体制で運行し、富士重工業製レールバスが複数在籍。
・ハイモは、「ハイスピードモーターカー」の意味の形式名。
・ハイモの後の数字は、搭載されたディーゼルエンジンの最高馬力を表す。
・台車は、従台車と動力台車組み合わせで、動力台車は一軸駆動である。
・第三セクター転換時導入の二軸車レールバスのハイモ180形は、全て廃車している。
・ハイモ330-701以外のブレーキシステムは、一般的な空気ブレーキを採用している。
・全車、車内にトイレ設備は無い。
【ハイモ230-312】
池田満寿夫デザインのカラーリングで、樽見鉄道のマスコット的車両。昭和62年(1987年)富士重工業製造の最古参のレールバスである。新型のハイモ330-701の導入により、平成23年(2011年)1月に廃車になっている。
【ハイモ230-313】
富士重工業製のレールバス。本巣市の広報ラッピング車両。ハイモ330-701の導入により、予備車となる。
【ハイモ230-314】
富士重工業製のレールバス。ショッピングセンターモレラ岐阜の広告ラッピング車両。後の平成28年(2016年)1月に廃車。
【ハイモ295-315】
池田満寿夫デザインによるカラーリング車両。富士重工業製の鉄道用車体採用の16m級LE-DC初期型軽快気動車。
形式 | ハイモ230-310番台(312・313・314) | ハイモ295-315 |
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発注会社 | 樽見鉄道 | 樽見鉄道 |
製造会社 | 富士重工業 | 富士重工業 |
製造年 | 312・昭和62年(1987年) 313・昭和63年(1988年) 314・平成4年(1992年) |
平成11年(1999年) |
車体構造 | レールバス | 鉄道用車体 |
全長 | 15.5m | 16.5m |
全幅 | 3.0m | 3.0m |
高さ | 3.6m | 4.0m |
自重(空車時) | 24.7t | 26.8t |
エンジン/最高出力 | 日産PE6HT ターボ付ディーゼルエンジン 230馬力/1,900rpm |
日産PF6HT ターボ付 ディーゼルエンジン 295馬力/2,100rpm |
塗色 | 312・池田満寿夫デザイン、車体広告無し。 313・黄色と青色のツートン、車体広告有り。 314・ピンク色、車体広告有り。 |
白色&イラスト 妻面は緑色 |
座席 | ロングシート | ロングシート |
定員(立席含む) | 116名 | 116名 |
冷房装置 | あり | あり |
特記 | 312・最も古い在籍車両。 313・本巣市のPR広告車で、 「淡墨桜+蛍+織部」と「真桑文楽+富有柿」 の車体側面イラスト有。 314・予備車扱い、岐阜モレラ広告車の 「モレラ号」。 |
池田萬寿夫氏の 特別デザイン。 長良川鉄道の ナガラ300形と 同じタイプ。 車椅子対応可。 |
(※)日産ディーゼル製PE6HT03とPF6HT03は、共にターボ付きの水平対向6気筒ディーゼルエンジンで、PE形11,670㏄、PF形12,503㏄の排気量になる。
【ハイモ295-516】
新潟トランシス製の軽快気動車。樽見鉄道開業時のオリジナルカラーを塗装。
【ハイモ295-617】
富士重工業製の18m級LE-DC後期型軽快気動車。三木鉄道時代のままの塗装で、唯一のクロスシート車。
【ハイモ330−701】
新潟トランシス製の新型軽快気動車。樽見鉄道開業時のオリジナルカラーを塗装。
平成27年(2015年)に、同形式702号車を導入済し、二代目モレラ号になる。
(※訪問時は、導入前の為に画像は無し。)
鉄道ファン・樽見鉄道ハイモ330-701試運転(2010-12-28)
形式 | ハイモ295-516 | ハイモ295-617 | ハイモ330-700番台 (701・702) |
---|---|---|---|
発注会社 | 樽見鉄道 | 三木鉄道 | 樽見鉄道 |
製造会社 | 新潟トランシス | 富士重工業 | 新潟トランシス |
製造年 | 平成17年(2005年) | 平成14年(2002年) | 701・平成22年 (2010年) 702・平成27年 (2015年) |
車体構造 | 鉄道用車体 | 鉄道用車体 | 鉄道用車体 |
全長 | 18.5m | 18.5m | 18.5m |
全幅 | 3.0m | 3.1m | 3.1m |
高さ | 4.0m | 4.0m | 4.0m |
自重(空車時) | 29.0t | 29.7t | 31.2t |
エンジン/最高出力 | 日産PF6HT03 ターボ付き ディーゼルエンジン 295馬力/2,100rpm |
日産PF6HT03 ターボ付き ディーゼルエンジン 295馬力/2,100rpm |
新潟原動機(※) 330馬力/2,000rpm |
車体塗色 | 青地に赤白帯 (樽見鉄道標準色) |
クリーム地に赤青帯 (三木鉄道標準色) |
青地に赤白帯 (樽見鉄道標準色) |
座席 | ロングシート | セミクロスシート | ロングシート |
定員(立席含む) | 120名 | 116名 | 119名 |
冷房装置 | あり | あり | あり |
特記 | 行先表示&側面表示 は発光LED式。 車椅子対応可。 ボルスタレス台車。 イベントにも、 主に使用。 |
三木鉄道からの 移籍車。 元・ミキ300-105。 平成20年12月入線 唯一の セミクロスシート車。 車椅子対応可・ |
行先表示&側面表示 は発光LED式 側窓は固定。 電気指令式ブレーキ。 ※従来車とは、 互換性無し。 車椅子対応可。 |
(※ハイモ330-701のエンジンについて)
エンジンは新潟原動機製の330馬力と、マスコミや記念切符で発表している。新潟原動機のHPで紹介されている鉄道用ディーゼルエンジンで、330馬力のエンジンは、DMF13HZ、12,700㏄横型直列6気筒、インタークーラー付ターボディーゼルエンジン(330馬力/2,000rpm)が該当するが、このエンジン形式が搭載されているかは未確認。
ほか、神岡鉄道から譲渡された除雪モーターカーのDB1や保線用モーターカーがある。以前、客車列車や貨物列車を牽引していたディーゼル機関車国鉄DE10形5両や、本巣駅構内の貨車入れ替え用の小型ディーゼル機関車2両が在籍していたが、貨物全廃の為、廃車、若しくは、他の鉄道に譲渡されている。
(つづく)
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(※1)長良川鉄道に返却後、廃車された模様。
(※2)現在は修理を終えて、運用に復帰している。
2017年7月29日 FC2ブログから保存・文章修正・校正
2017年7月29日 音声自動読み上げ校正
双動について、しなの7号様からご教授頂いた。厚く御礼申し上げる。
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