草木ダム展望台から、北に歩いて行く。国道122号線は草木湖岸に沿い、激しくカーブしており、入江の向こうにも国道が見える。所々、湖面が間近に見え、山が湖畔まで迫り、沿道に民家は無い。車は頻繁に行き来しているが、歩いている人は自分のみである。
(国道122号線からの草木湖。)
国道沿いに大きなドライブインや土産店が建ち並んでくると、草木ダム展望台から、1.5km・徒歩約20分で、道の駅草木と富弘美術館に到着する。草木湖畔の少し開けた平坦地の高台にあり、展望も良い。
(道の駅草木。)
富弘美術館は、この東村出身(あずまむら/現・みどり市東町)の世界的詩人・画家である星野富弘氏の専門美術館になっており、このエリアの最も重要な観光地のひとつである。大手旅行会社の団体バスツアーでも、コースに必ず組み込まれている。
(富弘美術館。)
昭和21年(1946年)生まれの星野富弘氏は、中学校の体育教諭時代、生徒の指導中に頸椎を損傷した為、手足が不自由になってしまった。口に筆を咥え、文や絵を描くスタイルを取っている。作品からは、とても優しい、故郷の様な懐かしさを感じ、その作風は大変人気がある。また、詩集や画集、エッセイの出版も多い。
みどり市公式HP富弘美術館(館内撮影不可。公式HPに、館内の様子が紹介されている。)
平成3年(1991年)、故郷である東村(現・みどり市東町)の草木湖畔に開館し、現在は、平成17年(2005年)に建て直された二代目(新館)になっている。建物は独特な構造になっており、無機質な平たい四角形の外観であるが、内部は、大小の円形の部屋が沢山寄り添う様に集まり、柱が無い。また、単独の美術館としては、一般大人500円(個人)と良心的な入館料になっている。少し見学して行こう。
(お洒落なエントランス。)
展示作品は、円を描く壁にゆったりと展示され、思い思いに鑑賞できる。展示作品の他、ハイセンスな小部屋やガラス越しの小庭園、自家製パンやシフォンケーキが名物の展望カフェもあり、詩と水彩画の美術館でありながら、建築デザインも見応えがある。
(草木湖を眺められる角の美術館併設の展望カフェ。)
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足早であるが、40分ほど鑑賞をした。ここは、道の駅も併設し、大きな駐車場と親水公園が整備されており、ゆったりと過ごせる。暫く、草木湖の美しい自然を楽しもう。
この草木ダムの第一の目的は、洪水防止になっている。その為、夏期間は貯水量が60%程度に低下し、緑の下の土手も見え、大量降水に備える。夏期間以外は、ほぼ満水状態になり、発電や取水に優先利用されている。また、北国のロシア方面から海を越え、国の天然記念物のオオワシが毎年飛来していると言う。
(観光案内地図。)
(草木湖の眺め。)
美術館は湖畔の高所にあり、大変展望が良い。三つの小半島が湖に突き出しており、遊歩道も湖面間際まで降りている。すると、突然、湖面を撫でる様なさわやかな春風が吹く。小波が走り、日の光が細やかにキラキラと反射し、とても美しい。天気も良く、何とも言えない爽快な気分になる。
(突然、春風が湖面を撫でる。)
美術館から上流方を眺めると、赤いアンダートラス橋の草木橋が遠くに見える。昭和51年(1976年)7月竣工、ダム建設の際に架橋された湖横断橋になっており、対岸の草木湖に注ぐ横川沿いには、運動公園や国民宿舎等がある。
なお、この草木橋の下付近に、旧国鉄足尾線・草木駅があった。起点の桐生駅から30.3km地点、国鉄時代の昭和34年(1959年)9月の駅開業であるが、昭和48年(1973年)6月に廃止され、14年間しか存在しなかった短命な駅である。
(草木橋。)
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時刻は午前10時前である。帰りは、路線バスに乗り、神戸駅に戻ろう。バス停近くの国道沿いに、高さ4mもある大きなアルミニウム製オブジェ「土の中の豆」が展示してある。ボランティアグループの富弘美術館を囲む会が、平成3年(1991年)に寄贈し、星野富弘氏の詩も添えられている。
(アルミニウム製オブジェ「土の中の豆」。)
上部の棒は地面を表し、「今は苦しくても、時が来れば、希望の光りが芽生える」意味を象徴している。新改訳聖書の詩篇119番から引用されているとの事。
わたしは あなたのみおしえを 喜んでいます
苦しみに会ったことは わたしにとって しあわせでした。
(解説板。)
美術館南側の国道沿いのバス停から、10時3分発神戸駅行きに乗車する。国道122号線をくねくねと走り、所要時間7分で、神戸駅に到着する。なお、神戸駅から富弘美術館までの路線バスは、9時頃から17時頃まで、毎時約1本運行されている(詳しくは、富弘美術館の公式HPを参照/徒歩の場合は60分かかる)。
(バス停にミニバスがやって来る。)
(神戸駅に到着。)
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【バス乗車経路】
富弘美術館BS1003===路線バス===1010神戸駅BS
赤城観光自動車・神戸駅行き・片道運賃大人300円
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2017年8月10日 ブログから保存・文章修正・校正
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