天浜線紀行(20)岩水寺駅

天竜二俣駅に戻り、レンタサイクルを返却する。駅並びの地元コンビニで飲料水等を調達して、駅の待合室で少し待つ事にしよう。今度の下り列車は、14時41分発・新所原行きになる。発車数分前になると、改札係の女性駅員氏の案内がある。1日フリーパスを見せて、3番線の列車に乗り込み、3つ先の岩水寺駅まで行く。


(下り新所原方面の2・3番線ホームへ向かう。手前の2番線の列車は天竜二俣止まり。)

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【停車駅】◎→列車交換可能駅、★→登録有形文化財駅
天竜二俣1441◎★===二俣本町===西鹿島===1449岩水寺★
下り331列車・普通新所原行(TH2104・単行)
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2両編成の天竜二俣止まりの下り231列車が、隣の2番線に到着する。大勢の乗客が3番線の新所原行きの列車に乗り継ぐ。こちらは単行編成(1涼編成)なので、30人位の乗客になり、大変賑やかになる。定時になると発車。エンジンを轟かせながら、軽快に加速して行く。


(天竜二俣駅を発車する。※列車最後尾から後方の天竜二俣方を撮影。以下同。)

二俣川橋梁を渡り、昼食時に立ち寄った二俣本町駅を発車する。


(二俣本町駅を発車する。※最後尾から撮影。)

盛り土部を走り、左カーブ先の鳥羽山下のトンネルを抜けて、築堤を少し上がると、エンジン音と走行音を大反響させながら、天竜川橋梁を結構速いスピードで渡る。


(天竜川橋梁トラス部。)

(天竜川橋梁全景。左手の鹿島橋の方が上流方。)

橋を渡り、左カーブしながら、25‰(パーミル)の短い急坂を下ると、西鹿島駅に到着。浜松と結んでいる遠州鉄道の終点有人駅で、単式一線の天浜線3番線ホームは、無人駅扱いになっている。浜松に向かう乗り換え客が多いが、この列車からは、数人の乗降のみである。

なお、遠州鉄道の乗降ホームと天浜線のホームの間は、遠州鉄道の電留線と検修区があり、天浜線ホームからは、地下道で改札口と連絡している。かつては、遠州鉄道と国鉄二俣線は繋がっており、天竜二俣や遠州森まで、遠州鉄道の気動車が、直通運転していた時期もあった。現在、天竜二俣までの直通運転の計画もあるが、遠州鉄道は全線電化路線の為、西鹿島から天竜二俣間の電化が必要で、費用の問題で難しくなっているという。


(西鹿島駅天浜線3番線ホームと遠州鉄道の車両。)

遠州鉄道の赤い電車を見ながら、西鹿島駅を発車。大きな右カーブをこなすと、長い登り坂の鬱蒼と茂った雑木林の中を、真っ直ぐに走って行く。


(西鹿島駅から岩水寺駅間の雑木林の中を走る。)

そして、14時49分、所要時間8分で岩水寺駅に到着する。自分を含めて3人下車し、直ぐに、列車は新所原方に発車して行った。


(岩水寺駅で下車する。)

この岩水寺駅は、遠州森駅から金指駅(かなさし-)まで延伸開通し、旧国鉄二俣線が全線開通をした昭和15年(1940年)6月に開業。起点の掛川駅から18駅目、30.3km地点、所要時間約1時間、浜松市浜北区根堅、標高37mの終日無人駅である。現在は、単式一線のホームに木造旅客上屋のみだが、かつては、遠江一宮駅の駅舎を小さくした様な小型駅舎があったという。ホームと旅客上屋は開業当時のもので、国登録有形文化財になっている。

新所原寄りから、東の天竜二俣方とホームを眺めてみよう。一列に並んだ柱が5本ある旅客上屋は、古レールで補強されている。上部は天竜二俣駅と違うY字の変形トラス構造になっており、住宅側のトタン壁は平成3年(1991年)に増設されている。元々は、吹き晒し構造だったとの事。なお、向こうの大きなコンクリート高架橋は、建設中の新東名高速道路である。


(岩水寺ホーム全景と旅客上屋。)

(柱は古レールで両側を挟み込み、補強してある。)

(複雑で特徴的な梁構造。屋根は波型トタンの直葺きである。)

国鉄二俣線時代の昭和50年代中頃まで、駅員が常勤する木造駅舎があり、貨物や手小荷物の扱いもあった。昭和45年(1970年)に無人化した際、手小荷物は同時廃止され、3年後の昭和48年(1973年)に貨物の取扱も中止されている。かつては、このホーム南側に貨物側線があったという。

◆国登録有形文化財リスト「天竜浜名湖鉄道岩水寺駅待合所及びプラットホーム」◆

所在地 静岡県浜町市浜北区根樫字横町1730-2
登録日 平成23年(2011年)1月26日
登録番号 22-0159
年代 昭和15年(1940年)3月建築、平成3年(1991年)改修。
構造形式 待合所(木造平屋建、スレート葺、建築面積20㎡)、
プラットホーム(コンクリート造、延長92m)。
特記 東西に延びる92m長の島式プラットホーム。
西寄りに建つ待合所は桁行10mの規模で、独立柱をたて、
変形トラス屋根を支持し、北半に外壁をまわす。
独立柱による特徴的な屋根構造である。

※文化庁公式HPから抜粋、編集。

天竜二俣方も、新所原方も、構内進入部の線路が不自然にカーブし、北側(住宅側)に線路分のスペースがある。旅客上屋も片勾配屋根ではないので、1面2線の島式ホームの列車交換可能駅だったと思われる。また、天竜二俣方のポイントは外されているが、レールの一部が残されている。


(線路跡と思われるスペースは、自転車置場になっている。)

駅前に行ってみよう。駅らしくなく、屋根しか見えないので、まるでバスの乗降場に見える。木造駅舎が残っていれば、本当に良かったのであるが。


(駅前からの岩水寺駅。)

また、駅名の通り、地元の有名古刹である岩水寺の最寄り駅になっている。なお、遠州鉄道に遠州岩水寺駅があるが、かなり離れている。大雑把な感じの観光地図看板を見ると、駅から突き当たりの道路を右折、暫く行って左折らしい。近くに行けば案内板があるだろう。とりあえず行ってみよう。


(駅前の観光案内地図。)

(つづく)


2021年9月25日 ブログから転載・文章修正・校正。

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