長鉄線紀行(12)郡上八幡観光 その4

食品サンプルを見ていたら、実は、昼食をまだ摂っておらず、腹ペコである。蕎麦屋にしようと思ったが、何処も混んでいるので諦め、食べ歩きにしよう。

丁度、郡上八幡旧庁舎記念館前では、美味しい匂いがしている。折角、郡上八幡までやって来たので、地物は全て行きたいと思う。これも、旅の楽しみである。地鶏の串焼き2本(100円×2)、郡上餅(350円)、飛騨牛まんじゅう(350円)を購入し、店横の吉田川に面したベンチで頂こう。天気の良く、川面を見ながらも格別である。
和田家公式HP(郡上プラザどっと混む内)


(郡上八幡旧庁舎記念館前の和田家の出店。バスターミナルがある城下町プラザに、店も構える。)

とても柔らかい地鶏は、甘辛なタレもたっぷりである。郡上餅は、やや固めのツブツブ食感のある餅になっていて、海苔醤油のとても素朴な味になっている。なお、「半殺し」と物騒であるが、餅米の粒を半分残してある事が由来になっている。


(郡上餅。3個入り税込み350円。)

牛まんじゅうは、A-5等級の最高級クラスの牛肉を使っており、朴葉味噌との合わせが、とても美味しい。近くには、無料の水舟も置いてあり、水も頂く。


(高級飛騨牛まんじゅう。税込み350円。)

腹も一杯になった後は、旧庁舎記念館の東側にある「いがわ小径」【赤色マーカー】に行ってみよう。江戸時代、足軽屋敷だった家々の裏手を流れる小さな用水路になっており、鯉や川魚が泳いでいる。この暑さの中、とても涼しく感じる。


(いがわ小径を歩く。)

(鯉も気持ちよさそうに悠々と泳ぐ。)

この用水路は、島谷用水の上流部になり、幅は1m位、長さは110m程である。水量も多く、三カ所の共同洗濯場も設置されている。この用水路も、江戸時代の郡上藩三代藩主・遠藤常友(つねとも)が整備した。


(共同洗濯場。)

今でも、洗い場組合の組織があり、洗濯物のすすぎ、野菜の洗いや冷やし等に、共同で利用されている。用水の終端はトンネルになっており、左手の階段を降りると、吉田川沿いの石畳遊歩道に出る。

郡上八幡旧庁舎記念館南の「いがわ小径」から引き返し、宮ヶ瀬橋北側の本町と宗祇水(そうぎすい)に行ってみよう。本町周辺は、一般の商店や観光客向けの店も多く、観光客が大勢集まる場所になっている。


(グーグルマップストリートビュー・宮ヶ瀬橋袂から本町へ。)

徒歩3分程度で、到着。宮ヶ瀬橋袂の枡形には、造り酒屋の平野商店【黄色マーカー】があり、京風の立派な商屋になっている。この裏手の吉田川と小駄良川に面した場所に、積翠(せきすい)蔵元がある。「積翠」(原酒本醸造・1.8L・税込み2,550円)、「春駒」(本醸造・1.8L・税込み1,960円)が代表銘柄になっている。郡上八幡の名水を使い、きめ細かくまろやかな旨味と香りが特徴との事。


(積翠蔵元・合資会社平野商店。)

造り酒屋の並びには、「肉桂玉」の暖簾が掛かる飴玉屋・桜間見屋【青色マーカー】がある。創業明治20年(1887年)、現在6代目となる老舗になっており、軒下の木製看板は、大正8年(1919年)の北町大火の難を逃れた貴重な看板である。ちなみに、肉桂は、そのまま「にっけい」と読み、ニッキ(洋名・シナモン)の事である。
桜間見屋公式HP


(桜間見屋。)

桜間見屋の左横に、水のまち郡上八幡の城と並ぶシンボルとなっている宗祇水(そうぎすい)【波マーカー】の入り口がある。室町時代の郡上の領主・東常縁(とうつねより)は、武士でありながら和歌を嗜み、当時の高名な連歌師・僧侶である飯尾宗祇を郡上八幡に招いた。それから、約3年の間、古今和歌集の歌風を秘伝承する「古今伝授」を受けた。滞在の間、宗祇がここの泉を気に入り、近くに草庵を結んだ事が由来になっている。


(宗祇水入り口。)

石畳の急坂を少し下った所にあり、祠に水神が祀られ、豊富な水量が湧出している。また、用途別に区画が決められており、利用後の水はそのまま小田良川に流される。水質はミネラルウォーターに近く、全国名水百選の一番手に選ばれている。郡上八幡には、幾つもの湧水があり、上水道の原水として、また、水舟もあちらこちらにある。


(宗祇水。)

宗祇水から大通りに引き返して、再び、吉田川南側に行ってみよう。宮ヶ瀬橋を南側に渡ると、小さな団子屋がある。先ほど食べたばかりであるが、フラフラと立ち寄ってしまう。


(二代目団子家。)

1本70円で2本購入。「おおきに」と京言葉で言われ、郡上八幡は京文化圏であると感じる。小ぶりな団子が、5個付いており、程良い甘さが美味しい。


(上新粉ではなく、餅粉から作っているらしい。)

この吉田川南側は、新町、橋本町と呼ばれ、多くの商店や土産物店が軒を連ね、三つの美術館や博物館もある賑やかな場所になっている。また、大正時代の北町大火の延焼が無かったので、一角には、明治時代の商家も軒を連ねている。

その町中の一角には、「やなか水の小径」【緑色マーカー】がある。昭和風水舟や沢山の玉石が埋め込まれた風流な水路は、元は農業用水、後は島谷用水の分水路であった。整備された親水パークであるが、今日はとても暑いので、沢山の人達が涼を取っている。


(やなかの水小径。休憩用のベンチも、整備されている。)

(昭和風タイルを使った水舟。)

時計を見ると、途中下車してから、なんと5時間が過ぎている。そろそろ駅に戻ろう。観光客が多い大通りから、やなか水小径奥の小さな路地に入ると、静かな住宅街【白色マーカー】が広がっている。地元の人達の生活の場なので、静かに通ろう。


(稲荷町の町並み。)

(狭い路地に地元の人達の住宅が並んでいる。)

駅に戻る途中、国道交差点近くに、食品サンプル製作会社・岩崎模型がある。工場見学とサンプル製作体験が出来るらしい(入場と製作体験は有料)。
岩崎模型公式HP(サンプルビレッジいわさき)


(岩崎模型。)

(つづく)


2017年11月11日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年11月11日 文章修正・音声自動読み上げ校正

© 2017 hmd all rights reserved.
文章や画像の転載・複製・引用・リンク・二次利用(リライトを含む)や商業利用等は固くお断り致します。


[TrackBack]
昭和の鉄道員ブログ【112】「50代5000円でGO!」2010.12.12:郡上