わ鐵線紀行(6)神戸へ

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【停車駅】〓→主な鉄橋、】【→トンネル、◎→列車交換可能駅、★→登録有形文化財駅
花輪0732===中野==〓===〓小中====】【=】【==0742神戸◎★
下り711D列車・間藤行き(わ89-315「わたらせIII号」単行)
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花輪駅からも、15人位の中学生達が乗車して来る。前の席に座った男の子に聞くと、この先の神戸駅(ごうど-)の近くにある東中学校(あずま-)まで、毎日通学していると言う。1両のみの単行気動車の座席が、全て埋まった。

中学生達を全員乗せると、花輪駅を直ぐに発車し、少し不自然なカーブになっているポイント跡を通過する。第一種と第四種踏切のふたつの踏切を通過すると、土手桜がある切通しを右に大きくカーブをしながら、抜けて行く。ここも、わたらせ渓谷鐵道ファンの間では、有名な桜撮影地のひとつになっている。
マピオン電子地図・わたらせ渓谷鐡道花輪駅桜並木


(花輪駅先の土手の桜並木。コンクリート階段下に小さな第四種踏切もある。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

その直ぐ先には、唐沢橋梁と呼ばれる長さ3.4mのミニ鉄橋がある。太平洋戦争中の昭和11年(1936年)に架けられ、H鋼でレールを挟み込むトラフガーター橋は、わたらせ渓谷鐵道の国登録有形文化財の鉄橋の中では、一番短いものと思われる。


(唐沢橋梁。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鐵道唐沢橋梁(からさわきょうりょう)」

所在地 群馬県みどり市東町花輪(あずままちはなわ)
登録日 平成21年(2009年)11月2日
登録番号 10-0289
年代 昭和11年(1936年)
構造形式 鋼製単桁橋(トラフガーター橋)、全長3.4m、橋桁2.4m、橋台付
特記 桁下高を確保する為に、桁上に据えた枕木ではなく、
2本のIビーム主桁の間にレールを挟み、
横桁で直接支持する「達第827号型」のトラフガーダーを用いる。

(文化庁公式ページの国指定文化財等データベースを参照・編集。)

ドドドとエンジン音を轟かせながら、軽快に速度を上げて行く。渡良瀬川も直ぐ横にあるが、木々が多く、よく見えない。


(町の北外れにある道路橋横を過ぎる。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

約1kmを2分程走り、川から離れて山側に寄ると、中野駅に停車。この駅は、第三セクター化後の平成元年(1989年)3月に開業した新駅になっており、起点の桐生駅から22.0km地点、9駅目、みどり市東町花輪(あずままちはなわ)、標高295mにある。緩やかなカーブを描く単式ホームの小さな無人駅なっている。


(中野駅。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

ホーム並びの間藤側土手には、桜並木があり、撮影の名所になっている。ここは、山際である為か、わたらせ渓谷鐡道沿線の中では遅咲き桜と言われ、大間々や水沼の桜のピークを過ぎた頃が見頃になる。


(中野駅の遅咲き桜。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

中野駅を発車すると、直ぐに盛土の登り坂が始まる。駅先の右カーブ後の切り通しを抜けると、渡良瀬川が再び見え始める。鉄柵のあるこの付近も、側窓から川面がよく見える区間になっている。
マピオン電子地図・わたらせ渓谷鐡道中野〜小中間のビュースポット


(中野〜小中間の渡良瀬川。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

(中野〜小中間の渡良瀬川ハイライト区間。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

長い登り坂が続き、最大16パーミル勾配のアップダウンもある。カーブは大分緩くなっている感じであるが、岩場は結構険しい。真っ二つにかち割った様な岩の切り通しが面白い。


(岩の切り通し。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

小さな難所と大きな左カーブを抜けると、山側が開けて家々が見え、小中川橋梁(こなかがわ-)を渡り、小中駅に停車する。大正元年(1912年)12月開業、起点の桐生駅から24.4km地点、10駅目、みどり市東町小中(あずままちこなか)、標高318mにある。

古いコンクリート造りの待合室がある単式ホームの無人駅になっている。無骨な感じが国鉄風で好ましく、開業当時からの無人駅である。なお、手前の小中川橋梁は、国登録有形文化財になっている。


(小中集落が見えてくる。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

(小中川橋梁の先に駅がある。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

(小中駅を発車。※下り列車最後尾から桐生方を撮影。)

この付近は、小中川と渡良瀬川の合流地点に平坦地があり、田畑が広がる静かな山里の集落になっている。また、近くの杲小学校(ひので-)と絡めた鉄道写真は、テレビの旅番組や雑誌でよく紹介され、わたらせ渓谷鐵道の公式観光ポスターにもなっている。桜も紅葉も素晴らしいらしい。


(国土地理院国土電子Web・小中駅周辺。)

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鐵道小中川橋梁(こなかがわきょうりょう)」

所在地 群馬県みどり市東町花輪・小中(あずままちはなわ・こなか)
登録日 平成21年(2009年)11月2日
登録番号 10-0288
年代 大正元年(1912年)
構造形式 鋼製2連桁橋、橋長40m、橋台及び橋脚付。
特記 渡良瀬川水系小中川に架かる橋長40m、単線仕様の鋼製2連桁橋。
桁はDORMANLONG社製の鋼材を用いた60ftのプレートガーダー。
橋台及び紡錘形平面の橋脚は、精緻な花崗岩布積とする。

(文化庁公式ページの国指定文化財等データベースを参照・編集。)

小中駅を直ぐに発車。駅先にあるコンクリート製の道路橋をアンダーパスする。線路際は、雑木林が多いが、綺麗に植林された背の高い杉林も多い。この先は、勾配もやや急で小カーブが多く、クネクネと登る難所区間になる。再び、渡良瀬川の両岸に山が迫り、大間々から神戸までの区間では、最も川幅が狭い狭窄部に入る。

小中駅を発車して約2分、大きな右カーブの後、35km制限の標識が見えると、国登録有形文化財の第一・第二神土(ごうど)トンネルに突入する。山崖に沿い、大きく左にカーブしており、ふたつのトンネルが連続している。
国土地理院国土電子Web・わたらせ渓谷鐡道第一神戸トンネル付近


(第二神戸トンネルの桐生方ポータル。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

トンネルとトンネルの間にある小さな鉄橋の所には、見事な小滝がある。「汽車見の滝(別名・地蔵の滝)」と呼ばれ、車窓から手が届く位に間近にある。落差は70mもあり、日中の下り普通列車では、徐行運転と観光案内のサービスをしてくれる場合がある。


(汽車見の滝。※下り間藤行き列車最後尾から、桐生方を撮影。)

対岸に道路がなく、列車に乗車しないと見られない為、この名があると言う。国鉄時代以前からの名所であり、絶好の紅葉ポイントとしても、有名である。


(水量も多く、勢いよく飛沫も上がっている。)

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鐵道第一・第二神土(ごうど)トンネル」
(※トンネル名は、神戸ではなく、神土。)

所在地 群馬県みどり市東町神戸(あずままちごうど)
登録日 平成21年(2009年)11月2日
登録番号 10-0287、10-0286
年代 [第一]大正元年(1912年)。
昭和4年(1929年)と昭和33年(1958年)に増設。
[第二]大正元年(1912年)。
昭和29年(1954年)と昭和33年(1958年)に増設。
構造形式 [第一]馬蹄型断面、内部側壁は切石積み、天井は煉瓦積み、長さ98m、
長さ5mの落石覆及び擁壁付。
[第二]馬蹄型断面、煉瓦造及び石造、延長103m、
長さ20mの落石覆及び擁壁付。
特記 [第一]緩やかに湾曲する延長98m、単線仕様、煉瓦4枚厚のトンネル。
東坑門には巻厚に変化をつけたRC造落石覆、
西坑門には31m長の玉石積擁壁を接続する。
[第二]緩やかに湾曲する延長103m、単線仕様、煉瓦4枚厚のトンネル。
側壁及び坑門には切石を用いる。西坑門に連続し、
20m長の落石覆及び7.3m長の擁壁を鉄筋コンクリートで築く。

(文化庁公式ページの国指定文化財等データベースを参照・編集。)

四灯式遠方信号機が出口にある第二神戸トンネルを抜けると、緩やかなS字カーブを登りながら、川谷を縫う様に走る。この付近も、ビュースポットになっており、線路から、上方・下方共に20m以上の高低差がある。なお、上方は台地上になっており、集落や学校がある。


(第二神土トンネル出口と遠方信号機。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

(第二神戸トンネル先の渡良瀬川上流方。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

そして、沿線の途中主要駅である神戸駅(ごうど-)に到着する。


(神戸駅に到着。※上り桐生行き列車の最後尾から、間藤方を撮影。)

(つづく)


運転士の運転の妨げになる為、最後尾から後方風景を撮影。
進行方向の間藤方の写真は、上り桐生行き列車の最後尾から撮影。

2017年8月10日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年8月10日 文章修正・音声自動読み上げ校正

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