樽見線紀行(2)本巣へ

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【停車駅】斜字;列車交換可能駅、〓;鉄橋
大垣840===東大垣=〓=横屋===十九条=
下り11列車・普通本巣行(ハイモ295-516・単行)
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先ずは、沿線主要駅である本巣駅(もとす-)に行ってみよう。運転士の案内放送があり、定刻の8時40分に大垣駅を発車する。乗客は自分を入れて4人、ベビーカーを乗せた子連れの若い母親も居る。車両後方の左窓付近に座ろう。

さて、樽見鉄道の旅の始まりである。暫くは、東海道本線に寄り添って、道床が比較的良好な線路を名古屋方に快走する。まだ、大垣市街地の為、線路沿いに多くの建物が並んでいる。


(大垣駅を発車する。後方の大垣方を撮影。)

東海道本線の電留線が見えて、少し左にカーブをすると、ひとつ目の駅の東大垣駅に到着。ひと駅目であるが、ピンク色の派手なラッピングがされた上り列車と列車交換をする。向こう側の土手の線路は、JR東海道本線になる。

この東大垣駅は、国鉄時代の合理化によって、列車交換施設が廃止されたが、昭和59年(1989年)の樽見鉄道転換後、列車交換設備を復活している。一面二線の島式ホーム、構内踏切と小さな木造モルタル駅舎が残っている。


(東大垣駅とJR東海道本線。)

(ハイモ230-314と列車交換になる。)

なお、大垣駅から2.7km地点のこの東大垣駅で、東海道本線と分かれる。発車後、綺麗なY字ポイントを通過し、盛土部の上り勾配を1㎞程走ると、揖斐川(いびがわ)に架かる揖斐川橋梁(長さ322m)を渡る。そして、対岸に渡ると、左に大きくカーブしながら急勾配を下り、進路を北に変える。

この美しい揖斐川橋梁は、国鉄御殿場線から移設された曲弦トラス橋である。
大垣方の一連目のみ、大正5年(1916年)製造の国産川崎造船製の平行弦型トラスで、
二連から六連目が、明治33年(1900年)製造のアメリカ・AアンドP・ロバーツ社製の
輸入曲弦型トラスになっており、大垣口の樽見線撮影スポットになっている。


(東大垣駅を発車する。)

(揖斐川橋梁を渡る。後方の大垣方を撮影。)

線路は、広大な濃尾平野に直線状に敷かれており、多少のアップダウンはあるが、カーブも緩やかな感じで、田畑と住宅地が混在した近郊農業地帯の中を走る。女声の自動放送があるが、運転士もマイクで丁寧に案内をするのが、好印象である。

横屋駅、十九条駅と、国鉄ローカル線のままの単式ホームの棒線駅が続く。列車交換設備が無い駅の駅舎は無く、風雨を避けるのみの小さな開放式待合所やスロープ付きの盛り土ホーム、木製電柱とホーロー駅名標が、良い味を出している。


(十九条駅の駅名標。)

(十九条駅を発車する。後方の大垣方を撮影。)

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【停車駅】斜字;列車交換可能駅、〓;鉄橋
=十九条==美江寺==北方真桑==モレラ岐阜==糸貫==910本巣
下り11列車・普通本巣行(ハイモ295-516・単行)
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十九条駅から次の美江寺駅までの区間は、左右に果樹園が広がり、気持ちの良い直線の線路を快走する。途中には、第四種踏切も幾つかある。この付近は、綺麗に区画整理がされており、駅名になっている十九条をはじめ、「条」の字(あざな)が周辺に若干残っているのは、奈良時代の条里制の名残である。果樹畑は、ご当地特産の甘柿である富有柿(ふゆうがき)の畑らしい。

国土地理院の地図を見ると、条里制の区割りの様子がよく判る。また、内陸部であるが、標高は10-20m程度しかなく、古くから、水害が多い土地柄になっている。


(国土地理院国土電子Web・美江寺付近。)


(十九条駅から美江寺駅間。気持ちの良い直線が続く。後方の大垣方を撮影。)

旧・中山道が線路と交差し、美江寺宿があった美江寺駅に停車。小さな単式ホームの駅であるが、ホーム並びに桜並木があり、桜の名所となっている。また、岐阜駅の北にある有名な大日山美江寺観音が、かつてあった場所である。戦国時代、「美濃の蝮(まむし)」と恐れられた斎藤道三が、岐阜城(稲葉山城)を築城した際、移転したと言われている。
美江寺観音公式HP

美江寺駅からは、線路は真っ直ぐ北に向かわず、東寄りに1.2㎞程寄る感じになっている。どうやら、この付近の中心町である北方町(きたがた-)に、出来るだけ近寄る為らしい。住宅と田畑が混在する中の線路を快走し、大きく左にカーブすると、住宅が建て込んできて、北方真桑駅(きたがたまくわ-)に停車。国鉄時代には、本巣北方駅と呼ばれた島式ホーム一面二線の列車交換可能駅で、近くに三つの高校があり、大垣駅の次に乗降客が多い。なお、北方町の「北方」と所在地の字(あざな)の「真桑」の合名駅で、平成17年(2005年)に廃止された名古屋鉄道揖斐線の美濃北方駅とは、約1㎞の距離であった。
グーグルマップ・北方真桑駅

そして、次駅のモレラ岐阜駅に停車。この駅は、このエリア最大のショッピングセンターが開業された平成18年(2006年)に、ショッピングセンターの費用負担で新設された利便駅である。何と、このモレラ岐阜駅で、自分以外の乗客は全員降りてしまい、貸切状態になってしまう。


(ロングシートの車内。)

(運転席周りの様子。)

モレラ岐阜駅を発車。直線の線路を時速60km程の速い速度で快走し、進行方向正面の山々も、段々と近くなってくる。そして、単式ホーム駅の糸貫駅に停車し、約30分で本巣駅に到着。県道の踏切を越えて、長い貨物側線のある駅構内に進入。2番線に到着する。この駅止まりなので、一旦、途中下車をしよう。


(本巣駅構内に進行。)

(本巣駅2番線に到着する。)

(つづく)


2017年7月28日 ブログから保存・文章修正・校正
2017年7月28日 音声自動読み上げ校正

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